医療的ケアが必要な子は全国に2万人以上

 医療的ケアが必要な子どもは全国に2万人以上いるとされています(2021年度は2万180人/厚生労働省)。日本の周産期医療は世界トップクラスであり、以前は助からなかった赤ちゃんの救命率が上がった一方で、身体に障害が残り、NICU(新生児集中治療室)を退院してからも、自宅で医療的ケアなど特別な支援が必要なお子さんが増えています。

 パパやママは初めての障害児育児で体力的にもメンタル的にも負担を抱えながら、必死で障害のある子どもを育てています。そんな中で安心して預けられる場所がひとつでもあるというのは、心に余裕が生まれます。

 長女がお世話になっている大学病院は、小児病棟とは別の位置づけで在宅支援専門の病棟があり、レスパイトの時はここに入院します。医療と切り離すことができない子どもを育てる家族には、大学病院内の施設はとても心強い存在です。でも、地域によってはかかりつけの基幹病院ではなく県外にしか受け入れ先がないところもあり、全国規模で同レベルの支援体制が整っていくことを願っています。

のりの代わりに薄焼き卵で恵方巻

 さて。節分と言えば、近年では恵方巻きが人気ですが、身体に障害のあるお子さんの場合、「ごっくん」と飲み込む嚥下(えんげ)機能が弱いことがあります。恵方巻きは1本丸ごと食べるのが伝統のようですが、巻きずしののりはかみ切りにくく、のどに貼りつきやすいため、のりではなく薄焼き卵でご飯を巻いたり、お寿司ではなくふわふわのロールケーキにするなど、工夫しながら恵方巻を楽しんでいるようすをSNSなどでよく見かけました。障害があるからできないとあきらめるのではなく、アイデア次第でみんなで同じものを食べることができるというのは、新しい伝統につながるのかもしれませんね。

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江利川ちひろ

江利川ちひろ

江利川ちひろ(えりかわ・ちひろ)/1975年生まれ。NPO法人かるがもCPキッズ(脳性まひの子どもとパパママの会)代表理事、ソーシャルワーカー。双子の姉妹と年子の弟の母。長女は重症心身障害児、長男は軽度肢体不自由児。2011年、長男を米国ハワイ州のプリスクールへ入園させたことがきっかけでインクルーシブ教育と家族支援の重要性を知り、大学でソーシャルワーク(社会福祉学)を学ぶ。

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