※写真はイメージです(写真/フォトライブラリー)
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「スポーツ種目ごとの注意すべき点」
「スポーツ種目ごとの注意すべき点」

 メタボ対策の運動や休日におこなう趣味のスポーツも、ついやりすぎると肩やひじ、ひざなどが痛くなることがあります。シニア世代の健康を維持するには、どんなスポーツのやり方がよいでしょうか。週刊朝日ムック『首腰ひざのいい病院2020』では、3人の専門医に話を聞きました。

【名医が解説「スポーツ種目ごとの注意点」がこちら】

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 中高年になると誰でも、からだの衰えを感じる場面が増えてきます。そのまま運動せずに放っておくと、体力はどんどん低下して筋力や骨量も減り、生活習慣病のリスクも高まります。健康なからだを維持するには、スポーツをすることが推奨されます。

 ですが、若い頃と同じつもりでいきなりスポーツを始めてしまうと、思わぬけがをすることがあります。日本整形外科スポーツ医学会理事長の松本秀男医師は、こう話します。

「若いときからずっとスポーツをやっていれば、年齢を気にしすぎる必要はないでしょう。けが防止のため、日頃から筋力アップに努め、やりすぎに気をつけてスポーツを続けてください。一方、運動嫌いの中高年の方が一念発起してスポーツを始めるときは、要注意です。若い頃より運動能力は必ず落ちているので、少しずつ運動を始め、痛みなどの症状が出ないかチェックしながら徐々にレベルアップしていきましょう」

 では、中高年にはどんなスポーツがおすすめなのでしょうか。

「スポーツは、骨、関節、筋肉などの運動器の働きが衰える『ロコモティブシンドローム』と、内臓脂肪が増えて高血圧・高血糖・脂質代謝異常が起こる『メタボリックシンドローム』の予防・治療に効果があります。中高年の方はそれぞれ抱えている問題も、からだの状態も違っています。運動によって筋力をつけたいのか、体重を落としたいのか、心肺機能を高めたいのかなど、個々の目的に合った運動を選ぶことが大事でしょう」(松本医師)

 数あるスポーツのなかでも、仲間と一緒にできるものや、ゲーム性があって楽しめるスポーツは長続きするようです。テニス、ゴルフ、卓球やゲートボールなど、さまざまなスポーツを楽しんでいるシニアたちがいます。

 船橋整形外科病院の土屋明弘医師は、こう話します。

「久しぶりに運動するなら、まずは手軽なウォーキングから始めるとよいでしょう。そしてからだを慣らしたらランニングへと強度を上げましょう。いずれもクッション性のある、歩行や走行に適した靴を着用することが、足のけが防止の第一歩です。年をとるとだんだんひざが伸びにくくなり、まっすぐ立てなくなります。普段からストレッチをおこない、姿勢よく足を伸ばして歩いたり走ったりすることを意識しましょう」

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関節を動かすときの「負荷」を意識する