写真雑誌にも責任があります。「レタッチして、こういう写真ができますよ」と提案しているわけですから。作品をきちんと見せる誌面が減って、レタッチの仕方にページを割いている。アマチュアの人は「そういうことか」と思っちゃう。
プロもプロで、夕日が赤くないのに、「こうすれば赤くなります」とか、記事に書いちゃっている。だからそれをアマチュアの人がどんどんまねしてしまう。読んでいて、こんなことを書いていいのか、と思いますもの。
正直、デジタルになってから風景写真界にスターが出てこない。現場主義の技術と個性のある写真を撮る人がいない。みんな横並び。なんか、映像化された写真みたいな感じですね。
自然を表現するのであれば「自然に」、レタッチに頼らないように意識しなければならないと思うんです。(談)
写真・文=米美知子(風景写真家)
※『アサヒカメラ』2019年9月号より抜粋