今年抑えとして見事な復活を果たした藤川以外はそれほど戦力になっていないことがよく分かる結果である。また、藤川はアメリカ球界から日本復帰のための調整という意味合いが強かったことを考えると、純粋に戦力外になって独立リーグから復帰を目指すのはやはりいばらの道と言わざるを得ない。先述した西岡、昨年は村田修一(元巨人)など実績十分のベテランが結果を残しても簡単にNPB復帰とはいかないのだ。
一方のアメリカもメジャーへの復帰は簡単ではないが、ロースターから外れた選手が独立リーグでプレーするケースは多い。メジャーの盗塁記録を持つリッキー・ヘンダーソンや日本でもプレーしたフリオ・フランコなどの大物選手も晩年は独立リーグでプレーしており、藤川のように復帰のための一時的な場所にもなっている。
ではなぜ日本では独立リーグからのNPB復帰が難しいのだろうか。一つは単純に選手の枠数の問題である。NPBの場合、1球団の支配下登録ができる選手は70人が上限であり、育成選手の枠はあるものの、多くの選手を抱えているのは巨人とソフトバンクの2球団だけである。
メジャーの場合は直接支配下に置けるのは40人だが、下部組織であるマイナーリーグに多くの選手を抱えておくことができる。その差は非常に大きく、一人の枠の重みはアメリカと比べて日本の方が極めて大きいと言えるだろう。
もう一つはアピールの場の不足である。国内の独立リーグは日常的に試合を行ってはいるものの、そのための専属のスカウトを置いているNPBの球団はほとんどなく、大半の球団がアマチュア担当と掛け持ちとなっている。また、独立リーグを視察したとしてもNPB経験のないドラフト指名対象者に比べて、NPB経験者は後回しになることが多い。
また、いくら独立リーグで結果を残したとしても当然と見られてしまうこともある。実績のある選手であればあるほど実力があらかじめ把握されているからこそ、逆にアピールが難しいということもあるのだ。