特に受験生に関して、私はそうした声をたくさん聞いてきました。受かるかどうか不安な時期に、「○○大学に入れるくらいにはなれ」と言われたら、子どもはその言葉をひどく重く感じることでしょう。
親の期待に応えようとしすぎるあまり、「○○大学に落ちてはいけないのだ」と精神不安定になり、「受験すること自体が怖くてできない」という状態になってしまった子もいました。親が、子どもと他人の「穴を埋めよう」と思ってかけた言葉でも、結果、追い詰めてしまうことにつながり、子どもが行動できないようになることもあるのです。
きっと親は、コンプレックスを抱えた子どもに対し、「基本的に何もしなくていい」のだと思います。穴があることこそが、成長につながるきっかけなのです。そして、子どもが穴を埋めるためにがんばって行動していたら、それをほめて、やる気を高めてあげるのがベストではないでしょうか。
子どもの運動ができないことに対して、「どうしてできないのか」と親が嘆いたところで、何の生産性もありません。前述したとおり、「運動ができるようになりなさい」と強要すれば、逆効果になることが多いです。
そうではなく、練習をがんばりだした子どもに対して「努力して偉い」と言葉をかけたり、さりげなく運動する機会をつくってあげたりすることで、子どもはぐっと成長するのだと思います。もちろん、「困っている」と相談されたときは、一緒に解決の糸口を探してあげるべきでしょう。ただ、「干渉し、口出しをしすぎるとかえって成長の邪魔になる」というのが、私の出した結論です。