役作りに没頭するという林遣都 (c)朝日新聞社
役作りに没頭するという林遣都 (c)朝日新聞社

 2018年4月から深夜枠の連続ドラマとして放送された「おっさんずラブ」(テレビ朝日)。おっさんたちの純愛をひたすら少女漫画テイストで描き切ったこの物語は平均視聴率4%と、数字的には大ヒットとは言い難いが、SNSではオンエア直後に毎回熱い議論が繰り広げられ大反響を呼んだ。ドラマ公式本は15万部の売り上げを記録し、過去に出版された、主演の田中圭の複数の写真集までも重版されたほどだ。そして今月23日から、いよいよ「劇場版おっさんずラブ ~LOVE or DEAD~」が公開となる。

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 同ドラマが世に出て以降、田中は大ブレークし数々の作品に登場しているが、そんな田中と恋愛関係になるドS後輩キャラの牧凌太役を演じた林遣都(28)にも熱い注目が集まっている。果たして林遣都とはいかなる役者なのか。民放ドラマプロデューサーは林の魅力を次のように語る。

「男同士のオフィスラブを描くといった荒唐無稽な『おっさんずラブ』に一定の信憑性を与えたのが林さんの演技力です。リアルかつ切ない芝居で物語を大いにかき回してくれました。林さんは今までも男娼役などゲイキャラを多数演じてきており、その精悍な顔立ちと立ち居振る舞いはゲイの人からも熱い支持を受けているそうです。役作りのため新宿二丁目に行った時は実際にモテまくったそうですね。28歳で数々の主演作を持ち、10年以上にもおよぶ役者歴からすると役を選んでもおかしくないのに、彼は主演でも脇役でも関係なく完璧にやりこなす。一度、一緒に仕事をすると必ずまたしたくなる俳優ですよ」

 滋賀県生まれの林は、中学3年生の修学旅行時に東京・渋谷駅のホームでスカウトされたという伝説の持ち主。その2年後、約3000人のオーディションを勝ち抜き、映画「バッテリー」(2007年)で鮮烈なデビューを飾っている。テレビ情報誌の編集者は彼の魅力を次のように分析する。

「細マッチョ俳優として定評があり、アスリート役なら林さんの名前が必ずあがるというイメージですね。これまでも飛び込み選手、ボクサー、ランナー役などを演じ、実際に数カ月にわたってトレーニングに打ちこみ、躍動感をしっかり出せる名優として引く手あまたな存在です。また、彼の役者としての転機となったのは『荒川アンダーザブリッジ』。映像化不可能と言われていた人気コミックを豪華キャスティングで2011年にドラマ化、翌年には映画化もされましたが、小栗旬や山田孝之を押しのけ、主演を務めました。豪華キャストにも負けない存在感で一躍人気俳優の仲間入りを果たし、以後主演作も急増します。また、ネットフリックスで配信された又吉直樹原作の『火花』(2016年)では、日ごろから林さんがやっていた“関西弁できますアピール”が成就、念願かなっての芸人役を演じ、新たなキャリアを積むことに成功しました」

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藤原三星

藤原三星

ドラマ評論家・芸能ウェブライター。エンタメ業界に潜伏し、独自の人脈で半歩踏み込んだ芸能記事を書き続ける。『NEWSポストセブン』『Business Journal』などでも執筆中。

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