TMTは反対運動によって、いまのところ2年間は工事が止まっていますが、今後どうなるかはまだわかりません。
ここが難しいんですが、この望遠鏡がものすごく悪いものなのかというと、人類の宇宙開発のためにはものすごく役に立つもの。大西洋のスペイン領カナリア諸島という代替案も出ているんですが、標高などの条件がマウナケアより悪く、ここに作った方が良いということらしい。
実際、先週までハワイに滞在していて、現地のニュースとか友人に聞いたり、街を歩いたりした肌感覚では、ハワイに住む人たちはTMTのことを知っていて、ネイティブ・ハワイアンとかしっかりハワイに根付いている人、ハワイが好きな人たちは反対している。ただ、意外とみんながめちゃくちゃ反対しているかというと、そうでも無さそう……という感じです。いくつかの世論調査では賛成6割~7割ぐらいで、反対3割弱ぐらいという状況。現地でアメリカのニュース番組も見ていましたけど、ハワイ版のニュースではTMTもやるけど全国版では流れていないようでした。
ただ、僕が聞いた感じだと、若い人とかハワイに住んで短い人とかの間では、デマというか誤解も結構あるのかなと。実際より多くお金が入ると思っていたり、日本単独のプロジェクトだと思っていたり、マウナケアの山頂は旗が立っていて霊峰みたいになっているんだけど、そこに建てようとしているとか。そういうことも意外とあったのが現状でした。
個人的にどう考えるかはすごく難しくて、というのも僕は宇宙も好きだから、ハッブル宇宙望遠鏡より何倍も見えるものができるとなると、「すごい! 良いな!」と思う気持ちもあります。ただ、ネイティブ・ハワイアンの人たちの気持ちもわかるなと思う。それはお金で測れないことだし、本当に世界中でここしか無いのか!?とも思う。だから日本でももっと報じられてほしいと思います。
だって、日本人もハワイは大好きで、みんな「ここにパワースポットがある!」とか言って行くじゃないですか。その最高峰がハワイ島のマウナケアですからね。そこで日本が関わる事業に反対運動が起きているわけです。ネイティブハワイアンの土地が奪われた歴史の中には、欧米人だけじゃなく、日系移民も入っているかもしれない。その人たちも当初は外国人として移住してきて畑をやったり、事業で成功した人もいるわけだから。複雑ですよね。
ハワイに行きたい、マウナケアの山頂ツアーに行ったことがあるという人もいるかもしれないけど、今のハワイの本当の問題という一面を考えてみてはいかがでしょうか。ハワイが好きならちゃんと知っていても良いニュースなのかなと思います。