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日本やアメリカなどがハワイ島マウナケア山に建設しようとしている天体望遠鏡「TMT(Thirty Meter Telescope)」に対する抗議運動が激化し、33人の逮捕者が出たことで、ハワイ州のデービッド・イゲ知事は7月、非常事態宣言を発令。混乱が続いている。かつてハワイでかき氷店を営んだこともあるカンニング竹山さんがこの夏、現地で見聞きしたことからTMT問題を考える。
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今年もたくさんの日本人観光客がハワイを満喫している時期ですよね。オアフ島のワイキキ周辺でビーチに行ったり、買い物したり、食事したりしているだけでは目につかないかもしれませんが、ちょっと車で走ったりするとデモに遭遇することもあると思います。それは、日米中とインド、カナダがTMTという巨大な望遠鏡をハワイ島のマウナケアに建設しようとする計画に反対するデモ。日本ではなかなか報道されていないので、知らない人が多いと思います。
TMT国際天文台のホームページなどによると、この望遠鏡は鏡の大きさが幅30メートルで、ハッブル宇宙望遠鏡より12倍以上の解像度になるんだそうです。建設予定地はマウナケアのてっぺんから1キロ以上離れていて、神殿の跡地とかお墓が無いところ、動植物や水質、景観への影響が無いところを選んでいるらしい。それでもハワイ島の14%の土地からこの望遠鏡が見えることになり、ペンキで反射しないようにしたりして、なるべく景観が崩れないように努力はするんだそうです。
既に山頂近くには13基の望遠鏡があって、それを壊して作ったらいいんじゃないかっていう意見もあるかもしれないけど、それは自然への影響が大きくて、山を削ったりしなきゃいけなくなるから、別の場所に新たに作ることになっているらしい。建設に18億ドルかかり、日本はその5分の1を負担するようです。
経済的な面で言うと毎年100万ドルのリース料のほか、約140人の雇用に毎年2600万ドルが支払われたりもするから、ハワイにとってはメリットもある。ところが、なぜ反対しているのか?