2008年に米国で誕生した民泊運営ウェブサイト「エアービーアンドビー」(以下エアビー)は世界の旅行業界を革命的に変えてきています。これまでは海外旅行の際、情報が少なければ地域との交流から孤立した高価なホテルに宿泊するしかありませんでした。エアビーは民家をできるだけ安価な料金で短期間借りるシステムです。エアビーの魅力は、安い料金だけではなく、民家に宿泊することで地域の人たちとの交流ができることにもあります。
日本とイスラエルでもエアビーの利用は急速に広がっています。ただ、両国の反応は大きく違っています。日本ではご承知のとおり、管理されないエアビーの拡大は地域社会やホテル業界に有害であるとされています。イスラエルでは、政府の支持もあり歓迎されています。今回は、日本とイスラエル二国のエアビーへの対応を比較してみたいと思います。
日本ではエアビーの利用は過去5年で急に広がりました。ただし18年、日本政府はホテル業界を保護するために厳しい規制をかけました。エアビーの宿泊施設は複雑な規制に従わねばならず、多くの家を貸す人(ホスト)はその規制の厳しさに音を上げて廃業を決めたほどです。例えば、京都では現在ほんの少しのエアビーの宿泊施設しか残っていません。その影響か、春や秋の観光シーズンにリーズナブルな価格で宿泊することはほぼ不可能です。
私の経験では日本人は世界でもっとも旅行者を歓迎する国民です。ただ日本のいくつかの場所では、エアビーの宿泊施設はゴミの分別も知らない旅行者や騒音をまきちらす旅行者が利用すると批判されています。京都では「民泊反対」の看板を見ることができます。
こうした旅行者に対する恐れは02年の日韓W杯サッカーを思い出させます。当時、狂信的なサッカーファンである「フーリガン」の存在を日本のメディアは煽りながら報道していました。テレビでみた札幌の老婦人を思い出します。経営しているお店を大会期間中は閉店すると話していました。フーリンガンが怖いというのです。結果はどうでしょう。多くの外国人は歓迎され楽しみました。帰国してからも友人や家族にいかに日本がいい国であるかを話していたのです。フーリガンの“フ”の字もありませんでした。
イスラエルのエルサレムとテルアビブではエアビーのシステムはうまくいっています。金銭的余裕のない学生など、多くの若者がイスラエルのエアビーに感謝しています。エルサレムの小高い丘にある私の自宅近くには二つのエアビーの宿泊施設があり、台湾からの観光客に人気です。私は時折、彼らと話をして楽しんでいます。なので、少し中国語もできますよ。
そうそう、7月下旬、日本から二人の高校生が私の自宅にやってきて、高校がやっている教育プロジェクトの一環として私にインタビューしたのです。やはり街の中心部にあるエアビーの宿泊施設を利用していました。