そして、盛岡三との決勝戦では、小原が7安打完封勝ち。菊池雄星(現マリナーズ)を擁して4強入りして以来、2年ぶりの甲子園出場を実現した。エースを欠いた危機感が、チームの団結を呼んだのだ。
その花巻東が、今年の県大会決勝で、163キロ右腕・佐々木朗希を温存した大船渡に12対2と大勝して甲子園出場を決めたのは、皮肉なめぐり合わせだった。その一方で、高校時代の酷使で将来を棒に振った投手もいる。現在メジャーで活躍中の大谷も含めて、高校生の運命は監督の起用法次第で決まるということを、改めて痛感させられる。(文・久保田龍雄)
●プロフィール
久保田龍雄
1960年生まれ。東京都出身。中央大学文学部卒業後、地方紙の記者を経て独立。プロアマ問わず野球を中心に執筆活動を展開している。きめの細かいデータと史実に基づいた考察には定評がある。最新刊は電子書籍「プロ野球B級ニュース事件簿2018」上・下巻(野球文明叢書)。
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