「建英、ドラえもんみたいやなと(笑)。何でもアイテムとか引き出しが多すぎて、何を出すか分かんないんだよね」(6月9日・エルサルバドル戦後)

 こういった語録を見ても分かる通り、長友は必ず新聞やネット記事の見出しになりそうなキャッチーな言葉を交える。世界の名選手との比較だったり、誰もが知っているアニメを用いたりと、表現方法も分かりやすい。その言い回しの妙に多くのメディアが心酔し、必ずと言っていいほど彼の取材には人垣ができる。それを本人も理解したうえで、「現場の広報部長」としてどんどん代表をアピールする。そこまでの立ち振る舞いのできる選手は、今の森保ジャパンでは長友1人だけと言っていいだろう。

「僕は長谷部さんみたいに真面目にはできないし、圭佑みたいに変わったたこともなかなかできない。でも長谷部さんのいい部分、圭佑のいい部分を吸収して、パーソナリティを出していけばいいんだと思いますけどね」

 本人が言うように、日本屈指の左サイドバックが代表で過ごしてきた2008年からの11年間には、川口能活や中澤佑二、中村俊輔、長谷部、本田といった個性豊かな人材が揃っていた。川口の情熱、中澤のカリスマ性、中村の傑出した分析眼、長谷部のバランス感覚と生真面目さ、本田の常識に囚われない行動というのは大きな刺激になったはず。北京五輪代表からの盟友である内田篤人も言う時はキッパリ意見を言うタイプだし、岡崎慎司も確固たる自分を持っていた。そういう仲間たちも「自身のパーソナリティ」を考える大きなきっかけを与えてくれたことだろう。もともとコミュニケーション能力には長けていた長友が、自身の長所を研ぎ澄ませ、「現場の広報部長」に君臨するようになったのも、環境によるところが大なのではないか。

 その長友の立ち振る舞いを若い世代はどう受け止めているのだろうか。ロシア16強戦士である柴崎岳や昌子源は「自分から発信しなければならない」という自覚を強めている様子が見受けられる。とりわけ柴崎は、吉田不在の状況でキャプテンマークを巻くことも増え、公式会見やミックスゾーンでメディア対応をきちんと行うようになった。以前は報道陣の前を素通りし、“塩対応”などと言われるケースも少なくなかったが、今では「ワールドカップを経験してこれからの日本代表のことを考えた時にある程度、自分がこうなっていくべきというものは個人的には持っている。自分の立場を考え、意図的に発言するようにもしています」と本人も強い自覚をのぞかせる。

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久保建英はやはりひと味違う