2018年に公開されたアニメ映画「君の膵臓をたべたい」で声優に初挑戦。初日舞台挨拶では、自身の役がどう描かれているのか作画で確認したと語っていたが、その1枚が自分のところに届くまで、どれだけの労力があったのかを考えるとすごく緊張したそうで、「今までで一番緊張したかもしれません」と、ベテランらしからぬ心情を明かしていた。

 さらに、90年代に高視聴率ドラマを連発した脚本家・北川悦吏子氏の作品に2014年に初出演した際は、「私で大丈夫なのか」と謙遜(ドラマ「月に行く舟」製作発表会記者会見、2014年9月)。また、仕事の歩みについては、好きかどうか分からない感じの時でも「今度はこうしたらいいのかな」と、試行錯誤しながら毎日進んできたそうだ(「あさイチ」2017年5月19日放送)。

■東京ディズニーランドでスカウトされた

 そんな和久井について、「そもそも、芸能界への強いこだわりがなかったので余裕があるように見えるのでは」と話すのはスポーツ紙の芸能担当記者だ。

「和久井さんは東京ディズニーランドのアトラクションに並んでいたところをスカウトされたことがキッカケでデビューしたのは有名な話。さらに、デビュー当時は芸能の仕事をしたいとは思っていなかったと情報番組で明かしていたこともあります。ある意味、芸能界入りへの憧れやこだわりがなかったぶん、今でも謙虚な姿勢を持ち続けているのかもしれません。そんな偉ぶらない性格もあって、役柄を通して視聴者に癒しを与えてくれるのでしょう」

 ドラマウォッチャーの中村裕一氏は、和久井の魅力についてこう語る。

「確かに90年代の彼女の活躍には目を見張るものがありました。『夏子の酒』では実家の酒蔵を継ぐ主人公を、『ピュア』では軽度の知的障害を持つヒロインをそれぞれ見事に演じ切りました。また、和久井演じるリストラOLが、吹越満演じるロートルボクサーと出会い、精神的に自立していく『殴る女』も隠れた名作です。一見おっとりした性格に見えるが実は芯のある女性を演じたら抜群の存在感を発揮するのが彼女の魅力のひとつ。長い間オファーが途切れないのは、それだけ女優としての実力がある証拠です。彼女の年齢に合った持ち味が必ずあると思うので、今後ももっといろいろな作品で活躍する彼女を見てみたいですね」

様々な作品で視聴者を和ませてくれる和久井。飾らない自然体なアラフィフ女優として、ますます重宝されそうだ。(丸山ひろし)

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