名称先祖返りする予定の大学がある。首都大学東京は、2020年に東京都立大に戻る。もともとこの名称だったが、石原慎太郎都知事時代の2005年、ほかの三つの都立大学(短大を含む)と統合したときに、首都大学東京として生まれ変わった。

 しかし、小池百合子都知事になった今、「18歳人口の減少や大学間競争が激しさを増している中、教育研究成果の都政への還元など、都との連携を一層強化する取組を進め、都立の大学であることをわかりやすく発信」(東京都ウェブサイト)することを理由に、東京都立大に戻すことを決めた。

 校名変更で唯一、元号を採り入れたのが、帝京技術科学大→帝京平成大(1995年)である。平成のつく大学はほかに平成音楽大、平成国際大などがあるが、いずれも平成になって新設された大学だ。

 校名に元号がつく大学は、明治大、大正大、昭和大などがある。令和時代となった今日、大学経営者は当然、意識するだろう。令和大、令和○○大はいつ誕生するか。早い者勝ちだが、校名変更ではなく新設する場合、急ぐあまりに教育の中身がおろそかかになっては困る。令和最初の設置不認可が令和大、ではしゃれにならない。宮内庁に怒られますよ。(文/教育ジャーナリスト・小林哲夫