神聖な土曜日にトーラを読んでシナゴーグ(集会)で祈りをささげることは、ユダヤ人にとって生活の中心をなすものです。トーラを通じて学ぶという「教育」が、ユダヤ人には大事なこととされているのです。昔のユダヤ人社会では、金持ちのユダヤ人は娘を村で一番賢い男の子に嫁がせるのが伝統でした。トーラを学ぶ能力がある少年に育つことこそが、ユダヤ人社会の一員になることだと言えます。

 日本人からたまに「イスラエルの子供や若者は日本人と比べて大人びている」と言われます。若者に関しては、18歳からの徴兵制での経験がそうさせているのかもしれませんが、その根拠はわかりません。ただ12、3歳の子供が日本の子供と比べてしっかりして見えるのは、宗教的な儀式を経て、周囲もユダヤ人社会の大人として扱うことが、子供が大人へ成長する後押しになっているのは間違いないでしょう。

○Nissim Otmazgin(ニシム・オトマズキン)/国立ヘブライ大学教授、同大東アジア学科学科長。トルーマン研究所所長。1996年、東洋言語学院(東京都)にて言語文化学を学ぶ。2000年エルサレム・ヘブライ大にて政治学および東アジア地域学を修了。07年京都大学大学院アジア・アフリカ地域研究研究科修了、博士号を取得。同年10月、アジア地域の社会文化に関する優秀な論文に送られる第6回井植記念「アジア太平洋研究賞」を受賞。12年エルサレム・ヘブライ大学学長賞を受賞。研究分野は「日本政治と外交関係」「アジアにおける日本の文化外交」など。京都をこよなく愛している。

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