実は、グータッチは監督就任発表後にも行われていた。昨年11月、原監督の復帰後初采配となったMLBオールスターとのエキシビションゲームでは、ランニング3点本塁打を放った松原聖弥外野手をグータッチで迎えた。その後、岩隈久志投手や新外国人選手の入団会見でもグータッチを見せた。

 丸にいたっては、入団会見で原監督とのグータッチについて記者に問われ、「20回以上はしたい」と述べていた。ところが、シーズンが開幕してからは、丸に限らず多くの選手が活躍しているにもかかわらず、現時点でグータッチが行われた形跡はない。原監督としては、スタートダッシュに成功したとしても、グータッチは「まだ早い」と考えているのかもしれない。

 チーム状態は決して悪くない。特に「原マジック」がピタリとハマったのが、2番打者で出場している坂本勇人内野手だ。原監督はシーズン前から「攻撃的2番打者」を構想し、初回から複数得点を積極的に狙うことを明らかにしてきた。

 統計データをもとに選手の評価やチームの戦略を考えるセイバーメトリクスでは、打率の高さや本塁打数よりも、得点数との相関性が高いOPS(出塁率+長打率)が重視される。坂本のOPSは1.090でリーグトップ(11日試合終了時点。以下同じ)。最強の2番打者として、チームを引っ張っている。

 昨年の坂本は、主に1番を打ってOPS.962(出塁率.424、長打率.537)の好成績を記録したが、投手が打席に入ることが多い9番と、坂本の後を打つ2番が機能せず、得点に結びつかないことが多かった。それが、今季は1番に吉川尚輝内野手が定着。出塁率.432(リーグ4位)で、坂本の前に塁に出る仕事を十分にこなしている。さらに、広島からFA移籍して3番センターに座った丸のOPSは1.017(同4位)。吉川、坂本、丸の「ヨシサカマル」が躍動している。

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新黄金期到来の予感