広島カープの本拠地マツダスタジアム (c)朝日新聞社
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 今や広島の大きな武器となっているのが本拠地マツダスタジアム。09年4月の開場以来、チームが強くなるとともに、右肩上がりに多くのファンが足を運ぶようになった。広島の試合チケットはまさにプラチナ化している。

 マツダの大きな特徴は、内外野総天然芝。芝生管理をおこなっている日本体育施設株式会社は、国内スポーツ施設管理を数多く引き受けている。中でも「スポーツターフ」と呼ばれる芝生管理に関しては高い評価を得ており、まさに第一人者と言えるだろう。

 日本体育施設が管理する、サッカーJ1ベガルタ仙台の本拠地ユアテックスタジアム仙台の芝は、16年Jリーグ・ベストピッチ賞を受賞。また14、15年はJ3ギラヴァンツ北九州が当時使用していた本城陸上競技場がベストピッチ賞を受賞。試合中のマッチコミッショナーの意見を元にしてチェアマンが決定するこの賞は、いわばサッカー場日本一の称号。この素晴らしい技術がマツダにも活かされている。

「サッカーは基本的に週1試合もしくは2試合の場合がほとんど。もちろん試合を通じて選手はピッチ上ほぼすべてを走り回るから、傷みは相当ある。野球の場合は1試合終わって芝生のすべてが傷むことない。でも試合数が多く、6連戦の時もある。だからサッカーと野球では管理方法はまったく異なる」

 そう語ってくれたのは、マツダの芝生管理を預かる日本体育施設の森田誠さん。

 グラウンド整備の重要性がより注目されたのは、17年のCSシリーズ、阪神対DeNA戦。断続的に強く降り続く雨にもかかわらず、球場管理する阪神園芸の懸命の整備もあり試合が成立した。

「素晴らしい技術だったと思います。また甲子園球場の排水機能も素晴らしい。土のグラウンドであそこまで雨が降っていた中でやれたのは、本当に凄いこと。同時に土と芝生に関してはやはり異なることも多いと感じた」

「芝生に関していうと、野球とサッカーは異なる部分が多い。例えば、サッカーではチーム戦術で芝を短くしたり、試合前に散水したりして球足が速く、伸びやすくしたりもする。でも野球は芝が濡れた状態だと、ボール自体の革が水分を吸収してしまい重くなってプレーに支障が出る」

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