いずれにせよアストロズには歯が立たない以上、エンゼルスもマリナーズもアスレチックスを制しての地区2位確保、そしてワイルドカード獲得が現実的な目標か。東地区の2強はともかく、中地区はレベルが高くないため、西地区で2位になれればプレーオフ進出に手が届く可能性も見えてくる。

 ダイヤモンドバックスは総年俸削減のために主砲ポール・ゴールドシュミット一塁手をトレード。A.J.ポロック外野手や左腕パトリック・コービンもFAでチームを去った。今季も途中でエースのザック・グリンキーら主力のさらなる放出が予想され、チームは完全に再建モードへと舵を切るはず。平野自身はセットアッパーとしての活躍が期待できるが、リードした場面での登板機会自体は多くならないだろう。

 以上が今季の展望となるが、何もかもが開幕前の予想や下馬評どおりにはいかないのもメジャーリーグの魅力。昨季もチーム年俸総額が地区では最下位で評価も高くなかったアスレチックスが驚異の追い上げでプレーオフ進出を果たしている。今季もそうしたアップセットは必ずどこかで起こるだろうし、それが日本人所属チームである可能性もゼロではない。ファンにとっても長く、そして楽しいシーズンが間もなく始まる。(文・杉山貴宏)