特にダルビッシュは鳴り物入りでの移籍だっただけに、2年目の今季は名誉挽回が最重要課題。本来の実力どおりに15勝前後まで白星を伸ばせれば、おのずとカブスも優勝に近づいていく。

 なおカブス最大の弱点はクローザー。本来の守護神ブランドン・モロー投手がケガで出遅れるため、昨季に臨時クローザーとして13セーブを挙げたペドロ・ストロップらブルペンの戦力を名将ジョー・マドン監督がどう回していくかも見ものだ。

 残るエンゼルス、マリナーズ、Dバックスのプレーオフ進出は苦しいとみるのが妥当。特にエンゼルスとマリナーズは同地区に2017年のワールドシリーズ制覇時の戦力をほぼ維持し、2年連続で100勝越えのアストロズという難敵がいる。打者に専念する大谷が30ホーマーを放とうが、メジャーデビューの菊池が2ケタ勝利に届こうが、それだけでひっくりかえせる戦力差ではないというのが客観的な見方だろう。

 ただし光明がないこともない。まずエンゼルスは、大谷が打線に常時いることでメジャー屈指のスーパースターであるマイク・トラウト外野手の敬遠四球が減るであろうこと。とはいえ、ひじの手術から大谷が復帰するということは、ベテランのアルバート・プホルス一塁手か新加入の大砲ジャスティン・ボア一塁手を含めた3人のうち誰かがスタメン落ちすることを意味する。このあたりの折り合いをどうつけるかもチーム浮沈のカギになりそうだ。

 マリナーズはイチローの引退がモチベーションにどう影響するか。プラスに働くようならば、下馬評以上の力を各選手が発揮するかもしれない。戦力的には大砲ネルソン・クルーズや中軸打者のロビンソン・カノ二塁手、守護神エドウィン・ディアスにエース左腕ジェームズ・パクストンら投打の主力を相次いで放出して世代交代を図るのかと思いきや、菊池をはじめとしてドミンゴ・サンタナ外野手やマレックス・スミス外野手ら20代後半から30歳前後の即戦力を多く獲得。今季のプレーオフ進出を完全にあきらめたわけではない姿勢を示しているが、逆に世代交代が中途半端になるリスクも抱えている。

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番狂わせが起きる可能性も