一方のアスレチックスでは、やはり主砲クリス・デービスのパワーが必見。メジャーデビューから3年過ごしたブルワーズでは27ホーマーが自己ベストだったが、2016年のアスレチックス移籍後は3年連続で40ホーマーと100打点をクリア。特に昨季は48ホーマーで初のタイトルを獲得したメジャー屈指の大砲だ。ただし右打者なのに左投手にあまり強くなく、昨季は対サウスポーの打率は2割1分9厘にとどまった。菊池にとってはありがたいデータかもしれない。
財政的な事情から大物選手が長く在籍しないアスレチックスだが、ここ数年は「マネーボール」で日本でも名を知られるようになったビリー・ビーンGM(現在の肩書は上級副社長)主導の編成が実を結びだしており、特にバッターの若手有望株の台頭が著しい。その中でもぜひ名前を憶えてほしいのが「2人のマット」、マット・オルソン一塁手とマット・チャップマン三塁手だ。
2012年のドラフト1巡指名でアスレチックス入りしたオルソンは、メジャー2年目の2017年に59試合で24ホーマーを放って注目を集めた。初めてレギュラーとしてフルシーズンを過ごした昨季は162試合すべてに出場して29本塁打、84打点をマーク。早打ちタイプではないため三振も多いが四球も選べる。今年で25歳とまだまだ将来が楽しみなスラッガーだ。
チャップマンは2014年の1巡指名だが、大卒でのプロ入りのためオルソンより1歳年長。大谷翔平(エンゼルス)の投手としてのメジャーデビュー戦でスリーランを浴びせた選手と言えば、思い出す人もいるかもしれない。メジャー2年目の昨季は24ホーマーを放った打撃もさることながら、三塁の守備が素晴らしかった。20失策はしているものの、これは守備範囲が広いため通常ならヒットになる打球にも追いつけてしまうがゆえ。肩の強さも抜群で、レギュラー1年目にしてゴールドグラブ賞に選出されている。
ちなみにオルソンも一塁手としてゴールドグラブ賞を獲得しており、アスレチックスの内野陣は守備に関してもかなりのハイレベルと言っていいだろう。