女傑の系譜は2強が去った後も途切れなかった。2009年(平成21年)の二冠牝馬ブエナビスタは、同年の有馬記念で2着。翌2010年3月にはドバイ遠征を敢行し、ドバイシーマクラシックで2着に入った。帰国後も牝馬限定戦のヴィクトリアマイルを勝ち、宝塚記念で2着。そして天皇賞(秋)で牡馬相手にG1制覇を果たした。その後もジャパンカップ、有馬記念、翌11年のヴィクトリアマイルと宝塚記念でいずれも2着(ジャパンカップは1着入選後に降着)。天皇賞(秋)ではトーセンジョーダンの4着と崩れたものの、ジャパンカップはトーセンジョーダンに雪辱しての勝利を収めている。
競馬というのは面白いもので、ブエナビスタがターフを去るのと入れ替わりで、再び新たな女傑が誕生する。2012年(平成24年)の牝馬三冠を全て制したジェンティルドンナは、ジャパンカップも制覇。しかもハナ差の2着は1歳上の三冠牡馬で仏G1凱旋門賞でも2着の歴史的名馬オルフェーヴルだったから、その価値はいっそう高まった。ちなみに3歳牝馬がジャパンカップを勝ったのはこれが史上初の出来事で、当然のように年度代表馬に選出された。
4歳となったジェンティルドンナはドバイシーマクラシック2着、宝塚記念3着、天皇賞(秋)2着とゴールドシップ、ジャスタウェイら強豪牡馬相手に善戦しつつも勝ちきれないレースが続いたが、ジャパンカップでは3歳牝馬デニムアンドルビーをハナ差抑えて史上初の連覇を達成。5歳時はドバイシーマクラシックで前年の雪辱を果たして優勝し、引退レースの有馬記念でウオッカに並ぶG1通算7勝目を手にしている。
2015年(平成27年)はウオッカやジェンティルドンナ級の大物牝馬こそいなかったものの、ストレイトガールがスプリンターズステークス、ショウナンパンドラがジャパンカップ、サンビスタがチャンピオンズカップを勝っている。特に12番人気の低評価を覆したサンビスタの勝利は、JRAのダートG1を初めて牝馬が制したことで歴史に刻まれた。