数少ない先発候補ではスアレス(ヤクルト)、ロメロ(中日)、エップラー(オリックス)に注目したい。スアレスはテイクバックで大きく体をひねるトルネード気味のフォームから繰り出す重いストレートが武器の本格派。弟であるロベルト・スアレス(ソフトバンク)に比べると上半身の強い投げ方だが、馬力は申し分ない。ロメロは2016年、2017年と50試合以上に登板するなどメジャーではリリーフだったが、先発として期待されている。サウスポーらしいボールの角度があり、縦、横のスライダーのキレも申し分ない。コントロールさえ安定すれば阪神に移籍したガルシアの穴を埋める存在として期待できそうだ。エップラーはメジャー経験はないものの、昨シーズンは3Aで13勝をマークしている右腕。スピードはそれほどでもないが、長身から倒れこむように投げ込むフォームは悪い癖がなく、日本の野球に向いているように見える。小さく動くボールも実戦的だ。いずれも先発投手陣が苦しいチームだけに、キャンプ、オープン戦からチャンスは多く与えられるだろう。
昨年を振り返っても、リーグ三連覇を達成した広島は育成契約から昇格したフランスアの存在が大きく、その一方で最下位に沈んだ阪神は主砲として期待されたロサリオの不振が大きな誤算だった。それだけ外国人選手がチームへ与える影響が大きいことは間違いない。またフランスアやメルセデス(巨人)のように育成契約から一気に一軍戦力になるケースも近年では増えている。今季も彼らのような救世主的な働きを見せる選手が登場することを期待したい。(文・西尾典文)
●プロフィール
西尾典文
1979年生まれ。愛知県出身。筑波大学大学院で野球の動作解析について研究。主に高校野球、大学野球、社会人野球を中心に年間300試合以上を現場で取材し、執筆活動を行っている。