95年6月13日の西武戦(グリーンスタジアム神戸)、長谷川は初回に先頭打者のジャクソンに左前安打を許したあと、奈良原浩を投前内野安打で生かし、1死二、三塁から清原の遊撃内野安打で1点を失う。さらに鈴木の左前安打で2失点目。調子はけっして悪くないのに、不運な内野安打2本が絡んでの失点は、お気の毒というほかない、これで投球リズムが微妙に狂ったのか、4回にも3長短打に2犠打を絡めて2点を失い、8回には捕手・三輪隆のエラーで5点目を失った。
この時点で被安打16。交代してもおかしくない場面だったが、その裏、味方が1点を返したことから、「今日は長谷川に任せた試合。調子は悪くなかったし、相手の打順との(不運な)巡り合わせもあった」(山田久志投手コーチ)という理由で続投決定。
結局、9回にも3安打で1点を追加され、1対6の敗戦。160球の力投も報われずに終わった。1試合被安打19は、2リーグ制以降では、51年の米川泰夫(東急)、74年の児玉好弘(阪急)と並ぶリーグワーストタイ。長谷川は「不名誉です。任されたと思って最後まで投げましたが、相手のほうが上だった」と唇を噛んだ。
しかし、この悔しさをバネに、同年は自己最多タイの12勝を挙げ、チームの11年ぶりVに貢献した。
●プロフィール
久保田龍雄
1960年生まれ。東京都出身。中央大学文学部卒業後、地方紙の記者を経て独立。プロアマ問わず野球を中心に執筆活動を展開している。きめの細かいデータと史実に基づいた考察には定評がある。
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