2018年下半期の芥川賞は上田岳弘氏の『ニムロッド』と、町屋良平氏の『1R(いちらうんど)1分34秒』に、直木賞は真藤順丈氏の『宝島』に決まった。
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真藤氏は文教大文学部出身である。大学は公式ウェブサイトでこう告知した。
「1月16日(水)、直木三十五賞選考委員会が開催され、本学文学部の卒業生真藤順丈さんが小説『宝島』で第160回直木三十五賞に選ばれました。真藤さんは、2008年に小説「地図男」で文壇デビューし、同作品は第3回ダ・ヴィンチ文学賞大賞を受賞しています。今回の作品で、初めて直木賞候補となりました。文教大学の卒業生としては、第159回芥川賞受賞の高橋弘希さん(文学部卒業)に続く受賞となりました」(1月17日)
文教大はさぞかし嬉しかったのだろう。大学告知のとおり、2018年上半期の芥川賞受賞者は同大OBの高橋氏(受賞作『送り火』)だった。同じ大学の出身者が続けて芥川賞、直木賞を受賞するのはめずらしいことだろう。大学は高橋氏のときもウェブサイトで詳しく伝えていた。
文教大の起源は、1927(昭和2)年設立の立正幼稚園、立正裁縫女学校にさかのぼる。1966(昭和41)年に立正女子大として開学した。当時は家政学部のみの単科大学だった。1976(昭和51)年に現校名に改称し、翌年に共学となった。その後、学部の数も増え、現在は、教育、人間科学、文、情報、国際、健康栄養、経営の7学部構成となっている。
文教大がもっとも得意とするのは、教員養成だ。2017年の小・中学校と高校の教員採用者は、中学校154人(1位)、小学校230人(4位)、高校31人(40位)となっている(『大学ランキング2019 』から)。これからは「文芸に強い大学」になるだろうか。OB、OGの教員が大学時代の学びを生かして創作活動に励めば、今後、教員から作家が輩出する大学として期待されるかもしれない。
なお、2017年上・下半期の芥川賞受賞者は、沼田真佑氏(西南学院大)、若竹千佐子氏(岩手大)、石井遊佳氏(東京大)。直木賞受賞者は、佐藤正午氏(北海道大)、島本理生氏(立教大)、門井慶喜氏(同志社大)だった。