この記事をよく読むと、前後の文脈から、記事で紹介した市民の考え方を書いたとも読めるが、「 」に入っていない地の文章なので、誰の考え方なのかは、正確にはわからない。いずれにしても、産経新聞や読売新聞ではなく、朝日新聞がこのような考え方を、何の留保もつけずに掲載したのは、非常に不思議だ。もしかすると、記者本人やデスクまでが、他意はないものの、政府の解説をそのまま無批判に受け入れてしまっているからこういうことが起きたのではないか、と心配になる。なぜなら、安倍政権のことだから、必ず、そういう洗脳を一生懸命にやっているのだろうと思わずにはいられないからだ。
県民投票後の菅義偉官房長官の記者会見の模様が、今から目に浮かぶ。
――東京新聞の望月衣塑子記者らの鋭い突っ込み:「投票率が8割で、その8割が基地建設反対という圧倒的民意が明らかになりました。政府としては、この民意を真摯に受け止めて、辺野古基地建設を止めるというお考えはないのですか?」
菅長官の余裕綽々の回答:「沖縄県の有権者全体から見れば、基地建設反対の意思を表明したのは、わずか4割強でしかありません。少数派の意見によって、政府の考え方を変えるなどということはあってはならないことではないでしょうか。政府としては、沖縄県民の皆様に寄り添いつつ、今後とも辺野古基地建設を粛々と進めてまいる考えにいささかの変更もありません。」――
◆投票不参加は安全保障の問題ではなくおカネ?
それにしても、世論としては、投票実施を求める声が圧倒的に強いのだが、どうして、市民の声を無視して、議会や首長が投票実施を拒否しようとするのだろうか。
もちろん、投票不参加の市の議会では、自民党優位で予算が通らないということなのかもしれないが、それにしても、世論を怖れぬ「勇気ある」行動に、呆れる人も多いだろう。
私は、こうした行動の裏にあるのは、安全保障に関する考え方の違いという問題ではなく、もっと卑近な「おカネ」の問題だと見ている。それをわかりやすく表したのが、来年度の沖縄県の予算だ。