――吉田選手の後継者は誰を指名しますか。

 たくさんいますね。うちの道場の奥野春菜選手もいますし、向田真優選手もいます。自分の階級ではそういった選手になるのかなと思います。後は私を尊敬してくれている登坂絵莉選手もいます。いろんな選手が頑張っているので、みんなで頑張っていけたらなと思っています。

――オリンピックの顔として活躍されてきましたが、オリンピックはどのようなものでしたか。

 夢の舞台であるオリンピックに4度も出場することができて、自分の父はオリンピックを目指していたけれど出れなくて、兄もそうでした。私が4度も出させていただいたことを嬉しく思いますし、それも家族の支えが夢を大きく強く持たせてくれたので頑張れたのだと思っています。その4回で色んな方と出会うことができて、オリンピックで活躍することができたから今の私がいるのかなと思っています。

――自分の体力の衰えなどを感じることはありましたか。

 体力的にはそんなに落ちたかなという感じはなかったんですけど、年をとるにつれて体力が落ちる中で本気になったらという思いはありました。やっぱり気持ちの部分が追いつかない状態でやり尽くしたなという思いが強くなったので、決めました。

――最初に引退を伝えたのはどなたで、どのような言葉を告げましたか。また、33年間大切にした言葉は。

 最初に伝えたのは母です。「引退することに決めました」と。「ご苦労さん。あなたが決めたことだから」と言ってもらいました。ずっと大事にしてきた言葉は「夢追い人」。夢を追う人でありたい。そして、皆さんに伝えられるように、夢を追う人であってほしいと。大事にしてきました。
みなさん、本日は本当にありがとうございました。今までレスリングをはじめてマスコミの方に吉田沙保里を取材していただいてたくさんの報道をしていただいて知ってもらうこともできましたし、皆さんのおかげでレスリングを盛り上げていただくこと、知っていただくことができました。報道陣の皆様のおかげだと思います。そして、今まで吉田沙保里を応援してくださったファンの皆様、国民の皆様ありがとうございました。第2の人生も明るく元気に頑張っていきたいので、今後の吉田沙保里も応援してくださるとうれしいです。(AERA dot.編集部・福井しほ)

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福井しほ

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大阪生まれ、大阪育ち。

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