そのCGが、やっぱり演技を撮ってからしか作れないので、CG製作の期間をみるために、夏前の暑い盛りに収録しました。出演者は大変だったですね。今年夏暑かったじゃないですか。
しかも撮影までにいくらか掘っておくんですが、関東ローム層で水はけが悪いので雨が降っちゃうと溜まるんです。水がないから水道を通せってやってるのに水があるのもおかしいので、暑さで朦朧としながら、皆で掻き出しましたね(笑)。
あとはいろんな意味で丁寧に作ることを心がけたんで、作曲の林ゆうきさんにも映画並みに、画に合わせて作曲してもらいました。今のテレビは普通、曲をたくさん書いてもらって、それを僕らがここに当てはめたり、あそこに当てはめたりっていう、そういうふうなパズルをしていくんですけれど、そうではなく編集が終わったこのシーンの、この表情からこの表情までっていうのを、俳優さんの感情のうねりに合わせて音楽を画にあわせてわざわざ作る。だからものすごい曲数になるんですよ。一本あたり。実は昔はNHKの大河ドラマでもやっていたんです。もうそんなこと今はやっていませんから、それを久々にやりました。
丁寧さっていうのは、さっき言ったようにやったことのない素材を取り上げるっていうのと、僕らが捨ててしまった方法論をもう一回復活させる。面倒臭がらずにやるっていうのをわりとテーマとしてやりました。
去年も今年も4Kで撮っています。4Kでやってるから合成作業が時間さえかければそうとう精密にやれる。4K、8Kになったら、かつらの境目が目立つんじゃないかとか、時代劇を中心に考えた時にネガティブな意見が多かったんですけど、意外に逆じゃないかなと思い始めてるんです。そこに現存しない世界を描くのが時代劇なんだから、4K、8Kになれば、合成とかがすごくしやすくなりますし、手間暇を惜しまなければ時代劇の味方になってくれる。手間暇かけたことが、手間暇かけた映像で撮れることは、スタッフの意欲にも繋がりますし、可能性は無限に広がってると思っています。