11年アジアカップで日本を優勝に導き、MVPの栄誉に輝いた本田圭佑(写真:getty Images)
11年アジアカップで日本を優勝に導き、MVPの栄誉に輝いた本田圭佑(写真:getty Images)

 2019年アジアカップ(UAE)に挑む森保一監督率いる日本代表が12月26日から国内で強化合宿に入った。彼らは30日に流通経済大学と“壮行試合”を行い、年明けの2日に日本を出発。3日からアブダビで最終調整に入り、9日の初戦・トルクメニスタン戦(アブダビ)を迎えることになる。

 日本のF組はトルクメニスタン、オマーン、ウズベキスタンが同居していて、最大の敵はウズベキスタンになるだろう。1位通過した場合はサウジアラビア、カタール、レバノン、北朝鮮のいるE組の2位とラウンド16で対戦。現状ではカタールか北朝鮮の可能性が大だろう。2位になった場合はオーストラリア、シリア、パレスチナ、ヨルダンのいるB組2位との激突となり、シリアやヨルダンのいずれかと当たる可能性が高そうだ。ただ、オーストラリアがグループで取りこぼせば、いきなりの直接対決も考えられる。2位の方が3戦目からラウンド16、準々決勝と3試合続けてアルアインでの試合となり、移動なしでコンディション調整も楽なのだが、オーストラリアとの対戦のリスクがあることを踏まえると、2位通過は避けた方が無難だろう。森保監督も「移動の条件はともかく、1試合1試合勝ちにこだわっていく」と強調した通り、グループリーグは3連勝して勝負の決勝トーナメントに進むことが肝要だ。

 日本が過去にアジア制覇した1992年広島、00年レバノン、04年中国、11年カタールの4大会を見てみると、日本はグループリーグを無敗で乗り切っている。ただ、比較的スムーズに勝ち上がったのは、開幕からサウジアラビアに4-1、ウズベキスタンに8-1と2連勝した00年だけ。他の3大会はかなりの苦戦を強いられている。

 初めて頂点に立った92年を振り返っても、初戦・UAEとの0-0に始まり、北朝鮮にも1-1のドローと、2戦終了時点ではグループ敗退の可能性もあった。日本の命運がかかるグループ最終戦の相手はイラン。その難敵撃破の決勝点を挙げたのが、エース・カズ(三浦知良)だった。「魂込めました。足に」の明言を残したのがこの一戦。カズはアジアカップ5試合で1点しか挙げておらず、単純なゴール数は2得点の中山雅史の方が上だったが、イラン戦で日本を最大の窮地から救ったカズの傑出した存在感が光った。

 当時のカズは「大舞台で必ず点を取るエース」と言うべき存在で、後の日本代表である柳沢敦や北嶋秀朗らも「中学高校時代の憧れのFW」だと語っていたことがある。98年フランスワールドカップでカズに代わってエースの座を引き継ぐことになった城彰二でさえ「カズさんが代表から外れても、自分にとっては三浦知良が代表のエースだった」と述懐していた。その価値をアジアに知らしめる大きな契機となったのが、92年大会だったのだ。

次のページ
レフティーが彩った00年大会