写真の無断使用を見つけるたびに警告メールを送ってきた。無断使用対策として写真にクレジットを入れたが、その部分を切り取られて使われていた――。アサヒカメラ特別編集『写真好きのための法律&マナー』では、写真の無断使用による「被害と交渉」の現実を特集。私たちは著作権の意識を十分に持っているだろうか。いま一度見つめ直したい。
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「ウエディングカメラマンの裏話」という人気ブログがある。運営しているのはウェディングカメラマンのdapandaさん。18年間で約1600組もの結婚式を撮影しているベテランだ。撮影を通してさまざまなカップルや式場を見てきたことから、その舞台裏のエピソードを美しい写真とともに紹介している。
当然のことながら、dapandaさんは新郎新婦の許可を得たうえでブログに写真を掲載している。
ところが、これらの写真を無断使用する人たちに悩まされ続けている。
「知り合いやブログの読者が教えてくれたものが大半で、結婚式場やウェディングカメラマンなどの同業者はもちろん、エステや美容院、ダイエット会社や結婚相談所などでも使われていました」
dapandaさんは無断使用を見つけるたびに警告メールを送り、使用料を求めてきた。手間のかかる作業だが、プロとして当然だと考えているからだ。
しかし、大半は相手に著作権侵害という違法行為を犯している自覚がないために、無視されたり、逆ギレされたりしてしまうという。
無断使用対策として、写真にクレジットを入れたこともある。写真の雰囲気を損なうので入れたくないと思っていたものの、無断使用があまりにも多いため、やむなく入れることにしたのだ。
「でも、クレジットだけ切り取って使われてしまうんです。入れても意味がないことに気づき、やめました」
そんなとき、dapandaさんはドイツ発のサービス「COPYTRACK」の存在を知る。さっそく約1万7千枚の写真を登録したところ、約500件もの無断使用が発覚したという。