僕、中卒なんです。周りの人に話すと「そんなの関係ないって」とか言う人もいる。いや、こっちは悩んでなんかいないのに、急に何なんだって思う。独演会には色んな人が来てくれて、がんの人もいればゲイの人もいる。孤児院で育ったという子もいました。そのことを周りに話すと二言目には「あっ、そうなんだ……」「そういうの気にしないよ」と言われると。この反応や言葉がどこから来るのか僕は興味があります。野上さんもそんな経験ないですか?
野上:ありますね、感じますね。言葉で、それを活字にして表現して伝えるってなかなか難しいのと、それを集めて「じゃあ読者にどうしろっていう風に言えるのか」っていうのが、自分の中で答えが出しにくいかな。「そういうの言うのをやめよう」って言っても、たとえば、無言の「気にしないから」を飲み込むだけで、変わらないわけでしょう。だから難しいなぁっていうのは自分の中でありますね。
村本:そうした雰囲気が社会の空気の中にある……。
――村本さんのSNSはよく炎上していますが、傷ついたりはしないですか。
村本:「もうちょっと勉強しておけばよかったな」と思うことはありますよ。昨日も沖縄の話をして「もうちょっと勉強しておけばよかったな」と思って、それをプロデューサーに言ったら「いやいや、ツイッターの反応はすごいよかったですよ」って言うから久々にエゴサーチしたんです。そうしたらめちゃくちゃ悪口書いてあってびっくりして思わず携帯落としましたよ。「どこがよかってん!」「悪口いっぱいありますよ」と(笑)。でも、意外と凄まじく自分に自信があるんですよね。だから「分かってねぇなあ」と。
僕は喋りがすごいんですよ。たとえば「この喋りがなくなれば次はどうなるんだろう」と。鳥だとしたら羽をもいだ次がどうなるのかが知りたい。次の進化、第2ステージなんですよ。それが楽しい。同じ形態、場所にいるのではなく、自分が次にいくところを見たいんですね。
野上:縛ると本当にやりたいこと、表現したいことしかしなくなるから。
村本:そう。
(構成/AERA dot.編集部・森下香枝、福井しほ)
※中編へつづく