シンポジウム「電王戦から考える、コンピュータと人類の未来」の様子
シンポジウム「電王戦から考える、コンピュータと人類の未来」の様子

 1990年代半ば、将棋ソフトがプロ棋士にまったく歯が立たない時代。「将棋ソフトがプロを負かす日はいつ来るか?」という当時のアンケートに、羽生善治氏は「2015年」、森内俊之氏は「2010年」、谷川 浩司氏は「自分が引退してから」とそれぞれ答えている。

 現実にプロ棋士が敗北したのは、2013年の第2回電王戦だった。1勝3敗1分けという成績。これが、長い持ち時間(各4時間)・公開対局・相手が現役の女流棋士を除いたプロ棋士という条件で、初めてコンピューターが人間に勝利した日だった。

 翌年の「第3回電王戦」でプロが全敗するという事態が発生したが、さらに翌2015年3~4月にかけて行われた「電王戦FAINAL」では、プロ棋士の3勝2敗となり、人間が意地をみせた形となった。

 しかし、ここで物議をかもす事態が発生する。第2局の指し手と第5局の指し手だ。第2局ではソフトの欠陥を付いた手での勝利、第5局でもソフトのクセを見抜いてハメ手に持ちこむというものだったのだ。

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