山崎:で、その感知している部分がどこかというと、植物であれば葉緑体であったり動物であればミトコンドリア。昔はそれぞれが独立してバクテリアでいたときに、重力を感知していた機能が引き継がれているんじゃないかと言われていて。

大宮:へえ。じゃあ1個1個のミトコンドリアが重力を感知してる?

山崎:そうなんです。言い過ぎかもしれませんけど。宇宙へ行くのは特別な場所に冒険しに行くような感じがしてたんですけど、行ってみると、ふるさとを訪ねにいっているような。源っていう感じがしました。

大宮:ふるさと! じゃあ、子どもたちなんかも、将来、宇宙行くといいのかな。

山崎:行ってほしいです。私、月に寺子屋を作りたいという夢があって。

大宮:えーっ?

山崎:月で先生をやりたいというのが夢で。

大宮:本当ですか。

山崎:中高生や大学生ぐらいの皆さんが、国籍関係なく月に来て、地球を見ながら一緒に学んで、またそれぞれが地球に戻って成長していったら、人はもっと協力しやすくなるんじゃないかなって妄想してます。

大宮:めちゃくちゃ面白いですね。

大宮エリー(おおみや・えりー)/1975年、大阪府出身。99年、東京大学薬学部卒業。脚本家、演出家などを経て画家として活躍。クリエイティブのオンライン学校「エリー学園」「こどもエリー学園」を主宰。瀬戸内国際芸術祭(岡山県・犬島)で「光と内省のフラワーベンチ」を展示

山崎直子(やまざき・なおこ)/1970年、千葉県出身。93年、東京大学工学部航空学科卒業。96年、同大学院工学系研究科航空宇宙工学専攻修士課程修了。宇宙開発事業団(現・JAXA)に入社。99年、宇宙飛行士候補者に選抜され、2010年、スペースシャトル・ディスカバリー号に搭乗

AERA 2023年6月5日号