近畿大学情報学部のオープンキャンパスでは、高校生と保護者がアップル社認定の教育トレーニングセンターでプログラミングを体験した(photo 編集部・井上有紀子)
近畿大学情報学部のオープンキャンパスでは、高校生と保護者がアップル社認定の教育トレーニングセンターでプログラミングを体験した(photo 編集部・井上有紀子)

 情報系の学びのなかでも注目されているデータサイエンス。日々生まれる膨大なビッグデータをビジネスに活用することが求められているだけに、企業からの眼差しは熱い。AERA 2022年4月4日号の記事を紹介する。

【図表】データサイエンスを学べる学部・学科が開設された大学はこちら

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 データサイエンスを学んだ学生は、どんな企業に就職していくのだろうか。2017年に日本初のデータサイエンス学部を開設した滋賀大学では、21年春に学部1期生が卒業した。姫野哲人准教授はこう話す。

「卒業生の半数以上は、情報産業系や製造業系の企業にデータサイエンティストとして就職しました」

 いままでの滋賀大学とは違う傾向だという。背景には、同学部が全国の企業や研究機関、地方自治体など200社・団体ほどと連携していることがある。

「この連携は、他大学にはない大きな規模だと思います。学生は連携企業から派遣された講師の指導を受け、実務に即したデータ分析手法を学んでいます」(姫野准教授)

 過去の実例では、地元のスーパーのPOS(販売時点情報管理)データをもとに分析。モバイル会員の購買データから、どうすれば売り上げが向上するか考えたという。こうした机上だけではない学びも企業からの評価につながっているのだろう。

 インターンシップも実践的だ。学生支援課就職係の山岸雄係長が説明する。

「他の学部のインターンシップは1、2日の職場見学になることも多いですが、それに比べて1週間~1カ月など中長期間にわたって体験させてもらえることが多い。企業の研修を受けさせてもらうパターンもありますし、データを分析させてもらうこともあります」

■証明書で就活を後押し

 保護者のなかには、情報産業は長時間労働をするようなブラックなイメージがあり、心配する人もいるという。だが、姫野准教授はこう話す。

「たしかに人材不足ですが、このままではいけないと企業も変わってきています。卒業生に聞いても、働き方改革がなされているようです。そこのところは安心して業界に送り出せるようになりました」

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