猛威をふるうオミクロン株。感染者数は急激に増加しているが、一方で潜伏期間の短さや重症化リスクの低さなど、これまでと異なる特徴もみられる。対策にも変化が出てきた。AERA 2022年2月7日号から。
【データ】感染リスクが高いのは…?場所ごとの感染者の増加予測はこちら
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専門家有志は、オミクロン株に合った効果的な対策として、社会全体の人流を制限するのではなく、感染リスクの高い場面や場所に焦点を絞って「人数制限」をして、人と人が接触する機会を減らすことも提言した。そうしなければ、感染対策と社会経済活動を両立させるのが難しいからだ。
具体的に避けるべき場面や場所は、「3密回避」ができていない、大人数が大きな声で話す、換気の悪い場所でのパーティーや会食だという。以前から感染リスクの高さが指摘されてはいたものの、第6波に入り、クラスターの発生に占める比率が上がっている。
■急増する医療者の休職
一方、クラシック音楽のコンサートや、Jリーグの試合、プロ野球の試合などでは、従来よりも観客数を減らし、声援を控えるという対策を取れば、感染リスクが低いとした。
提言では国に、ワクチンのブースター(追加)接種の促進も求めているが、輸入できるワクチンの種類によって時期や量がまだよくわからないため、どれぐらい前倒しできるのかは不明だ。
21日に厚労省の専門家会議の有志21人によって公表された提言には入っていないが、専門家有志は、濃厚接触者や、軽症や無症状で自宅療養している人たちの待機期間の短縮も議論している。
かつてない数の、医療従事者や保育士ら、医療や社会生活の基盤を担うエッセンシャルワーカーが濃厚接触者になり、休職を余儀なくされている。欧米では、医療従事者の欠勤などにより医療体制が圧迫されたり、航空便が欠航になったりしている。日本でもそうなりかねない。
全国に先駆けてオミクロン株の流行が始まった沖縄県では1月13日、濃厚接触者になって休職した医療従事者が第5波の2倍超の400人を超えた。