世田谷区では、同区民などを対象に会場を設け、抗原検査キットを数量限定で無料配布した/1月27日
世田谷区では、同区民などを対象に会場を設け、抗原検査キットを数量限定で無料配布した/1月27日

 政府は1月14日、オミクロン株は潜伏期間が短いことから、従来14日間だった濃厚接触者の待機期間を10日間に短縮した。保育士ら、自治体が指定する職種は、6日目のPCR検査で陰性なら、待機を解除できる。さらに、濃厚接触者でも無症状なら、毎日、PCR検査か抗原検査で陰性を確認した上で勤務できるとした。

■療養期間短縮は可能

 政府は27日、エッセンシャルワーカーを含めた濃厚接触者の待機期間をさらに短縮する方向で検討を始めた。オミクロン株対策として英国ではワクチンを2回接種、米国ではブースター接種を受けていれば濃厚接触者の待機は不要としている。

 感染者の増大を受け、自宅療養者もうなぎ上りだ。現在は無症状でも症状があっても療養期間は10日だ。一方、米国は、10日間だった療養期間を5日間に短縮した。フランスでは、医療従事者は無症状や軽症なら感染していても勤務を継続できるとした。

「オミクロン株の場合、無症状なら、他の人に感染させるのは感染後4~5日間であることなどがわかってきました。日本では、一切、療養なしに感染している医療従事者が勤務ということにはならないと思いますが、療養期間を短くすることは可能だと考えます」(提言を出したメンバーの一人、岡部信彦・川崎市健康安全研究所長)

 欧米や南アフリカの流行状況をみると、オミクロン株は感染の増加だけでなく、ピークが来るのもこれまでより早い。ブースター接種が遅い日本が同じような経緯を辿るかどうかはわからないが、意外と早く減少に向かうかもしれない。今後、新型コロナウイルスは、通常の風邪に近づいていくのだろうか。

 岡部所長は、まだ今後も予想外の展開があり得るとみる。

「残念ながら現時点ではわからない、と言わざるを得ません。新しく登場したウイルスなので、どう変化していくのか自然史がわかりません。加えて、今はワクチンで人口の多くに人工的に免疫をつけている状態なので、その影響がどう出るか、将来の展望を読み切れない要素がたくさんあります。それだけに、疫学的な状況をきちんと見て、見合った対応に切り替えていくことが重要です」

(科学ジャーナリスト・大岩ゆり)

>>【前編「オミクロン対策は「ギアチェンジ」が急務 重症化リスク低い人への対応がカギ」はこちら】

AERA 2022年2月7日号より抜粋