「お金はいらないから帰って」と医師に怒鳴られ… 障害児の病院受診で養護教諭が悔し涙

2022/01/17 10:00

特別支援学校「旭出学園」で使っている「絵カード」。医療機関受診前に手順を説明し、発達障害や知的障害のある子の不安を取り除く(撮影/編集部・深澤友紀)
特別支援学校「旭出学園」で使っている「絵カード」。医療機関受診前に手順を説明し、発達障害や知的障害のある子の不安を取り除く(撮影/編集部・深澤友紀)

 障害児が医療機関で敬遠されてしまう現実がある。そんな子どもたちに適切な医療を受けさせるため、受診サポートを行う特別支援学校もある。AERA 2022年1月17日号で取材した。

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 東京都練馬区にある私立の特別支援学校、旭出学園では4年前から歯科や眼科、耳鼻科などの医療機関への受診をサポートしている。学校医に協力してもらい、事前に医院の玄関や受け付け、診察室、治療に使う器具などの写真を撮影。絵カードも使って、診療の手順を説明する。一人ひとりにスモールステップで目標を設定。耳の周辺の過敏性が高い生徒には、綿棒で耳を触り、できたら次はピンセットにステップアップし、治療に向けて準備。受診にも付き添い、慣れてきたら家族で通院してもらうようにする。

 高等部に通うダウン症の男子生徒は、最初の頃は歯科に連れていこうとすると校内を逃げ回っていたが、3年かけて1人で歯科に行き、会計を済ませて帰ってこられるまでになった。学校医の歯科に3カ月に1度通っていた自閉スペクトラム症の小学部児童は、自宅近くの歯科にも通えるようになった。

■合理的配慮の義務化

 同校が受診サポートを始めたのは、養護教諭の岡田花恵さんの苦い経験がきっかけだという。

 授業中に目を負傷した自閉スペクトラム症の中学部の女子生徒と一緒に眼科を受診したときのこと。男性医師から「機械をのぞいて」と言われたが、生徒はできなかった。すると、医師は「お金はいらないから帰って」と怒鳴り、岡田さんは悔し涙を流して帰ってきたという。

「障害があると、自分で自分の体に気を付けようという意識が持てない場合もあり、より医療が必要ですが、理解のあるお医者さんは限られます。いざというときに適切な治療を受けられるように、少しずつでも受診の経験を積んでもらいたいです」

 障害者差別解消法が昨年、改正され、2024年6月までに医療機関を含めた民間事業者にも合理的配慮が義務化される。受診にはどんな支援が必要か。

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