年明けの中学受験シーズンが迫り、不安と焦りを感じる親子も多いだろう。また、小学3年生の家庭などでは、中学受験に向け来春からの塾選びも本格化している。なぜ中学受験するのだろうか? 問い続ければ最後に笑顔になるのだという。AERA 2021年11月22日号の記事を紹介する。
【画像】「中高6年一貫教育」と「3年間の中学受験」で得られるものとは…
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中学受験をテーマにしたドラマ「二月の勝者-絶対合格の教室-」が話題だ。原作のコミック(小学館)は累計200万部を超えている。朝比奈あすかさんの小説『翼の翼』(光文社)も売れている。いずれの作品も、中学受験のエグい部分をこれでもかと表現しながら、しっかりとエモい部分も描いている。そう、中学受験はエモいのだ。
首都圏模試センターによれば、2019年まで首都圏の中学入試総定員数は、総受験者数よりも多かった。椅子取りゲームに例えれば、椅子が余っている状態がリーマン・ショック以降長く続いていた。しかし20年には椅子が足りなくなった。
さらにコロナ禍への対応で公立学校と私立学校(私学)の差に注目が集まり、私学人気が上昇。中学受験者数は増加傾向にある。かつては一定以上の偏差値の学校に合格できなければ中学受験をする意味がないという意見も多かったが、コロナ禍を経て、偏差値的には多少妥協してでも私学に入れたいと考える家庭が増えているようなのだ。
ただし中学受験はやり方次第で「毒」にも「良薬」にもなる。
■反抗期が漂白される
「中学受験のメリットとデメリットは何か?」という質問を頻繁に受ける。私はいつも「中学受験の何をメリットと感じるか、何をデメリットと感じるかに、そのひとの教育観、幸福感、人生観などの価値観が表れる」と答える。結婚のメリットとデメリットを尋ねられても一般論としては答えようがないのと同じだ。
一方、「中学受験で得られるもの」は挙げられる。それはさらに、中高6年一貫教育で得られるものと、およそ3年間におよぶ中学受験勉強の日々で得られるものとに分けられる。