去る9月、BTSは国連総会のバーチャル会合に出席。18年に続いて、2度目となるスピーチを行い、新型コロナウイルスのパンデミックの影響を述べながら「人生は続く。一緒に生きていこう」と呼びかけた。

「BTS現象の本質は、観る人の共感と癒やしを引き出す、彼らの豊かな音楽とパフォーマンスにあります。それは既存のシステムが持つ権力ではなく、BTSの音楽の普遍性とファンとの関係のシナジーがともに作り出したものなのです」

(ライター・矢内裕子)

■丸の内本店の高頭佐和子さんオススメの一冊

山口ルミコさんによるノンフィクション『バブル』は、元ベストセラー編集者であった著者が平成バブルを再考する一冊。丸の内本店の高頭佐和子さんは、同著の魅力を次のように寄せる。

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 バブル期に大学を卒業し、損害保険会社のOLとなった著者は、大手出版社に転職をする。そこで出会った「ボス」が設立した新会社の社員となり、数々のベストセラーを世に送り出す有名編集者となる。輝かしいキャリアを築いてきた著者は、どのように働き、なぜ会社を辞めたのか。時代の変遷と自らの経験を振り返りながら、同世代の女性たちにインタビューをしていく。

 ひとつの会社に勤め続けている人もいれば、転職や起業をした人も登場する。がむしゃらに仕事をして成果を上げる一方で、女性であるが故の苦労や、梯子を外される悔しさも経験している。「会社」に対する何らかの思いを抱えつつ、自分の生き方を模索する彼女たちは、真摯(しんし)でたくましい。そして、身近な存在にも感じた。変わっていく世の中とどう向き合うべきか。読み終わって、私も考えている。

AERA 2020年10月26日号より