■ルール書いて貼り出し

 まず前提として、ゲーム機やソフトなどは親が購入したものなので、親の管理下で使用することを親子で確認する。そのうえで、使用する時間帯や時間、さらに宿題や家の手伝いなどやるべきことをやった後にゲームをするなどのルールを明確にする。夜間はWi‐Fi(無線通信)を切る、ゲーム機やスマホを親が預かる、使用制限をかけるなどの方法も有効だ。

「ルールを決めても親子でその認識に差があることがあるので、明確にルールを伝えることが大事で、紙に書いて貼るのもいいと思います」(森山さん)

 休校中にずれた睡眠リズムが学校再開後にも戻らないことに苦労している家庭もある。夜寝る時刻が遅くなった一方で、登校するために朝は以前と同じ時刻に起こされ、睡眠時間が不足している子も少なくない。

 兵庫県立リハビリテーション中央病院子どものリハビリテーション・睡眠・発達医療センターの菊池清センター長によると、睡眠は単なる休息ではなく、脳が高度な機能を発揮するための重要な時間だ。睡眠が足りない子どもでは、記憶にかかわる脳の海馬のサイズが小さいことが証明されていて、認知症の患者の脳内で蓄積する異常物質が増加し、脳の機能が低下することがわかっている。

「脳の機能が低下すると、記憶力や判断力が低下し、動作も緩慢になり、同年代の子どもに比べてできないことが増え、学ぶ意欲が減ってしまう。子どもの自己評価が下がり、発達にも影響を及ぼします」

 子どもの睡眠障害は六つに分類されるが、そのうち休校の影響で増えているとみられるのが、不眠症と概日リズム睡眠・覚醒障害だ。不眠症は寝つきが悪い、夜中に目が何度も覚めてしまうなど睡眠が不足し昼間の活動に支障をきたす。概日リズム睡眠・覚醒障害は、目覚めの時刻がずれたことで体内時計が乱れ、自律神経バランスやホルモン分泌が不安定になり、体調を崩してしまう。

「子どもは睡眠や体内時計を整えることの大切さを知らず、睡眠を軽視しがちです。学校に行きたいのに行けない、日中ぼーっとするなどして困ると感じていたら、小児科で相談してみたほうがいいでしょう」

(編集部・深澤友紀)

AERA 2020年9月14日号より抜粋