仕事の失敗で落ち込みやすいが、あまり引きずるとミスがミスを招くことも…(写真/gettyimages)
仕事の失敗で落ち込みやすいが、あまり引きずるとミスがミスを招くことも…(写真/gettyimages)

 私事で恐縮ですが、最近仕事で大変なミスをしてしまいました。相手先に言葉を尽くして謝り、寝る間を惜しんで回復を図り、なんとか納期には収めましたが、仕事後ずうんと落ち込みました。私ってなんて愚かな人間なんだろう。こんな自分は社会で働いてはいけないのではないか。でも家事も育児も満足にできないのに仕事までダメって、自分の存在意義とは一体――。答えの出ない問いに悶々と苦しみました。

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 時を同じくして、私の夫も仕事でミスをしました。手掛けたプログラムに不具合があったとかで、上司に苦言を呈されたといいます。そうか君もつらいね、これから謝罪地獄か徹夜地獄か、ミス野郎同士お互いがんばろうじゃないか――と思ったら、夫はこう言うのです。

「やばいな、休み取らなくちゃ」

 やすみ? いや、逆じゃない? 休みどころか、これから不眠不休でミスの回復に努めなきゃいけないんじゃないの? って、あなたなら思いませんか。私もそう問いました。すると夫はこう続けるのです。

「最近、有給とってなかったから。ミスが出たのは休養が足りていなかったせい。これから体力回復に努めなくちゃいけない」

 えええ? それがミスの原因と対策?

 かたや、ミスを犯した自分の無能ぶりに落ち込む私。かたや、ミスは休養不足だから休みを取ろうとする夫。自責型と他責型ではこうも反応が違うのかと驚きました。さらに夫は、そもそも納期に無理があったとか人員が足りていないとか言って、上司と電話で交渉を始めました。その様子を見ているうちに、理不尽と思いながらもふつふつと怒りがこみあげてきました。

 あなたには責任感というものはないのか。時間や人が足りないという前に、ひとまず謝ったり、あるいは自分の仕事量を増やしたりしようとは思わないのか。普段は夫の仕事内容についてはノータッチを貫いていますが、あまりにも自分の境遇と重なっていたので思わず口を出してしまったのです。すると夫の答えはこうでした。

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大井美紗子

大井美紗子

大井美紗子(おおい・みさこ)/ライター・翻訳業。1986年長野県生まれ。大阪大学文学部英米文学・英語学専攻卒業後、書籍編集者を経てフリーに。アメリカで約5年暮らし、最近、日本に帰国。娘、息子、夫と東京在住。ツイッター:@misakohi

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夫の意外な答えとは?