「妻として母として私は不良品」から「励まし合ってほめる」へ 発達障害を持つ女性たちの転換点

発達障害

2020/04/09 17:00

 パニックになりそうな時は、子どもに「いま私、黄色信号だから」と伝え、そっとしてもらうようにしているが、自分のせいで我慢を強いているようで苦しい。注意散漫で子どもの受験料を払い忘れたり、一つのことに没頭する「過集中」のため食事の支度ができないこともある。

 PTAの役員決めでは皆が押し黙って下を向いていることに耐えられず、衝動的に「やります」と挙手した。だが、仕事ではミスを連発し「なぜ手を挙げたんですか」と責められた。

 ADHDのことは「言い訳。甘えている」と批判されたり、距離を置かれたりするのが怖くて言えない。普段は明るく振る舞うが、不安につぶされそうな時はカウンセリングに駆け込む。

 発達障害を持つ母親の困難や支援について詳しい東洋大学社会学部の岩田千亜紀助教は言う。

「これまで発達障害の診断基準は、男性の症例を基に作られてきたため、女性は見逃されてきた側面があります。適切なサポートも受けられず、親から虐待を受けたり、学校でいじめられたり、仕事がうまくいかなかったりという経験が積み重なって、自尊心が低下している人が多い」

 どんぐり発達クリニック院長の宮尾益知医師も、父親より母親のほうがより深刻と指摘する。

「男性は発達障害があっても、得意な部分を生かして社会的に成功し自尊心を保っていることが多い。女性は妻としても母としても『できて当然のことがなぜできないのか』と否定されがち。だから余計苦しい」

 整理収納アドバイザーとして活躍する西原三葉さん(49)も、かつてはそんな一人だった。幼少期、真面目な頑張り屋だったが、学校では「私は忘れ物ばかりするダメな人間です」と書いた画用紙を胸に貼って校庭を走る罰を与えられ、家庭でも認めてもらえなかった。

「今思えば、母親もASDと学習障害(LD)の傾向があり、困難を抱えていたのでしょうが、当時はつらかった」(西原さん)

 大手飲料メーカーに就職したものの、仕事でミスが続き、鬱(うつ)になって退職。3カ月後、現実から逃れるように結婚した。整理整頓はもともと苦手だったが、3人の子どもが生まれると、家の中はカオス化した。夫と子どもたちからは「サボっている」と責められた。

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