宇野昌磨(うの・しょうま)/名古屋市出身。平昌五輪で銀メダル獲得。2017、18年の世界選手権も銀メダル。昨季は四大陸選手権で優勝した(撮影/写真部・小黒冴夏)
宇野昌磨(うの・しょうま)/名古屋市出身。平昌五輪で銀メダル獲得。2017、18年の世界選手権も銀メダル。昨季は四大陸選手権で優勝した(撮影/写真部・小黒冴夏)

 昨シーズンのフィギュアスケート世界選手権では屈辱の4位という結果に終わった宇野昌磨選手。新たな練習拠点を求め、今期は長年師事した恩師のもとを離れることを決意した。コーチは不在のまま、シーズンの幕開けを迎えようとする宇野選手が現在の心境を語った。

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 宇野昌磨(21)は6月3日、公式ホームページにこう記した。

「グランプリ東海を卒業いたしました。まだ今後のことは具体的に決まっておりませんが(中略)新たなスタートを切りたいと思います」

 グランプリ東海とは、宇野が15年もの間師事してきた山田満知子、樋口美穂子両コーチが所属するクラブ。つまり、二人からの独立を表明したのだ。

 昨季の世界選手権は、表彰台落ちとなる4位。卒業への背中を押したのは、山田コーチだったと、宇野は言う。

「小さい時から一緒にやってきて、先生と選手以上の家族のような関係だからこそ、良い所も悪い所もある。『離れたほうがいい。もっと違う環境を見てもいいんじゃないかしら』と言われました」

 しかし樋口コーチについて、「僕のことを一番理解している。他のコーチは考えられない」と、明言し続けてきた宇野にとって、新天地を決めることは簡単ではなかった。

「早くコーチを見つけようとは思っていません。今季は慌てて決めるつもりはなく、おそらく独りでやっていきます。所属がないからこそ、いろいろな所(チーム)を見られます」

 新たな体験の一つとして6月13日から7月11日まで、ロシアのエトリ・トゥトベリゼコーチの夏合宿に参加した。アリーナ・ザギトワ(17)や4回転を跳ぶ女子を育てる、世界屈指のチーム。朝から晩まで休む間もなく、ロシアの少女たちに交じり、スパルタ式の練習メニューをこなした。

「エトリコーチは厳しい方と聞いていましたが、厳しさのなかに優しさも感じることができ、お互いの人間性をわかって合宿を終えることができました。ここ数年は、自分で考えて練習することがほとんどだったので、『これをやりなさい』と言われて環境に合わせながら練習するのは小さい時以来。好きではないバレエもトレーニングしましたし、いい経験になりました」

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