キム・カーダシアンさんのインスタグラムに載っていた矯正下着のブランド「KIMONO」のラインアップ
キム・カーダシアンさんのインスタグラムに載っていた矯正下着のブランド「KIMONO」のラインアップ
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 世界的なセレブでSNSのフォロワーが1億を超える米国のキム・カーダシアン・ウェストさんによる「kimono」ブランドがインターネットで炎上し、日本だけでなく英米メディアも巻き込む騒動になっている。
 
 彼女が立ち上げた「kimono」ブランドの販売予定商品が、日本の着物とは似ても似つかないデザインの女性用の補整下着であること、ブランドを運営するKIMONO Intimates社が「KIMONO」「KIMONO BODY」などの名称の商標登録を米国特許商標庁に申請していることから、日米を中心に諸外国の着物愛好家も声を上げる動きに発展。SNSには「着物は下着ではない」として、#kimono #kimOhNo(キム・オー・ノー)のハッシュタグをつけたコメントや着物姿の写真による抗議が続く。BBCやニューヨーク・タイムズなど英米の大手マスコミもこの騒動を取り上げ、問題視している。

 商標登録の問題に注目が集まっているが、それ以上に、目を向けるべきなのはドメイン名とSNSのアカウントのほうだ。「文化の盗用」、それも日本語の意味のすり替え問題に関わってくる。

 商標登録は独占権を得るためのものなので、登録がなくても、補整下着を「kimono」ブランドとして販売することはできる。すでに、カーダシアンさんは、kimono.comとしてウェブサイトを開設し、ツイッターでは@kimonobody、フェイスブックとインスタグラムではkimonoアカウントでPRを開始している。

 文化の盗用は「文化の私物化」と訳されることもある。他民族の文化をその文化に縁のない他者が表面的に借りて表現することを指す。今回の「kimono」騒動に限れば、日常的に着る習慣は廃れても、子どもの成長を祝う節目や礼装に欠かせない着物を神聖なものと捉える人たち、とくに女性が数多く存在し、その名前を下着として扱われることに侮辱を感じたことが表面化した結果だった。

 そして、抗議の声を上げた人たちの危惧は、単にブランド名に使われたことにとどまらない。

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