これが、山田さんら有志で「ロカボマーク」を管理する食・楽・健康協会を立ち上げた理由だ。13年に設立した協会の思いに賛同するメーカーは6年で78社に。

 この協会に加入していない大手チェーンも、世の中の健康・ダイエットニーズに応えて次々と低糖質メニューを販売しはじめた。低糖質ダイエッターの外食といえば「定食屋でのごはん抜き」など、切ない気持ちになる方法しかなかったが、今は違う!

 米部門では、米の一部をひき肉にして糖質を抑えた大阪王将のチャーハンが普通に旨そう。シャリの代わりに大根の酢漬けを使った無添くら寿司は衝撃的。カリフラワーを細かく刻んでライスの量を30グラムまで激減させたカレーハウスCoCo壱番屋の“手間”に脱帽。米を豆腐に置き換えたすき家は安定感たっぷり。

 パン部門では、バンズをレタスにしたモスバーガーの菜摘シリーズや、低糖質バンズに変更可能なフレッシュネスバーガーが定番だ。ファーストキッチンに至っては野菜をハンバーグのパティで挟むという逆転の発想。

 麺、ファミレスのチェーンもがんばっている。こんにゃく入りの麺で大幅に糖質をカットしたタイプ(麺屋武一、ジョナサン)、麺のかわりになめらか豆腐をドカンと投入した一風堂。野郎ラーメンは山盛り野菜で丼を埋め尽くした麺抜きバージョン。そそり立つ焼き豚は全部食べてよし、背脂もマシマシでどうぞ。壱角家は麺を使用しない低糖質メニューとしてわざわざ開発された商品で、家系スープとシャキシャキ野菜の相性が抜群だ。また通販の超低糖質パン、米、麺を常備しておくと自炊でもおなかいっぱい食べられて幸せ。

「先に野菜やたんぱく質を食べて、後から糖質という順番にすると、より血糖値が上がりにくくなります。『パルスイート』『シュガーカット』『ラカントS』『ステビアヘルス』などの甘味料も大いに活用してください。糖質を抑えつつ油も控えめにと提唱する専門家がいますが、油はエネルギー消費の源。制限しなくて大丈夫です」(山田さん)

 ちなみに鶏のから揚げはロカボ的にかなり高得点。ムネ肉じゃなくてモモ肉でOKだそう。え、モモでいいんですか! なんだか元気が出てきたぞ。(ジャーナリスト・伊藤忍、編集部・中島晶子)

AERA 2019年5月13日号

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中島晶子

中島晶子

ニュース週刊誌「AERA」編集者。アエラ増刊「AERA Money」も担当。投資信託、株、外貨、住宅ローン、保険、税金などマネー関連記事を20年以上編集。NISA、iDeCoは制度開始当初から取材。月刊マネー誌編集部を経て現職

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