高収入世帯ほど財布の紐が緩み、家計はメタボ化しがち。小学校から私立に通う子どもの教育費は大学の学部次第で合計4千万円近くかかるケースも(撮影/写真部・小山幸佑)
高収入世帯ほど財布の紐が緩み、家計はメタボ化しがち。小学校から私立に通う子どもの教育費は大学の学部次第で合計4千万円近くかかるケースも(撮影/写真部・小山幸佑)
FP横山さんの診断結果【貯金多すぎ】(AERA 2019年2月25日号より)
FP横山さんの診断結果【貯金多すぎ】(AERA 2019年2月25日号より)
【家計再生コンサルタント、ファイナンシャルプランナー(FP)】横山光昭さん(47)/マイエフピー代表取締役。『はじめての人のための3000円投資生活』(アスコム)が60万部突破。家計を無理なく改善させる独自のプログラムで、1万5千人以上の家計を再生(撮影/写真部・小山幸佑)
【家計再生コンサルタント、ファイナンシャルプランナー(FP)】横山光昭さん(47)/マイエフピー代表取締役。『はじめての人のための3000円投資生活』(アスコム)が60万部突破。家計を無理なく改善させる独自のプログラムで、1万5千人以上の家計を再生(撮影/写真部・小山幸佑)

 十分な収入があったとしても、家計の無駄は極力なくしたいもの。AERA編集部がネットを通じて募集した家計診断の希望者を、家計再生コンサルタントで、ファイナンシャルプランナーの横山光昭さんが実際に診断。今回は高収入家庭の家計を診断したが、高所得だからといって油断は禁物のようだ。

【貯金多すぎ?“年収2千万円“高収入家庭の診断結果はこちら】

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●毎月の保険料6万3500円減 預金と保険が多すぎ年収2千万円の3人家族

 愛知県の自動車部品会社に勤める39歳男性は、妻が医師ということもあり、世帯年収が2千万円に達する高収入世帯だ。

 夫婦合わせた手取り月収は約110万円で、そのうち58万円を毎月貯蓄に回しているうえ、住宅ローンはすでに完済。食費は外食を含めても7万5千円と、収入の割に贅沢をしている様子もなく、“死角”が見つからないパーフェクト家計に見える。横山さんも、まずは固定費の少なさを評価した。

「収入の高い世帯の場合、家賃または住宅ローン返済がかなり高額になっていることが多く、食費や外食費、交際費なども膨らんで実態は火の車というケースがよく見られます。しかしこのご家庭の場合、生活水準を上げ過ぎることなく、着実に残しているところが素晴らしい」

 娯楽費は国内旅行が年3回、キャンプも年2回など、やや多めだが、問題ないという。

「せっかくこれだけの収入があって、普段は贅沢していないので、この程度のレジャーは許容範囲。むしろ支出にメリハリがあって、よいのでは」(横山さん)

 ただ、問題がないわけではない。横山さんはまず、保険をかけ過ぎていることを指摘する。一家が年間で支払っている保険料の額は89万2300円、月額にして7万4千円にも達しているのだ。

「高収入だから保険もたくさん必要というのは間違い。保険は万一の備えとなる貯蓄が不足している人に必要なものです。既に定期預金だけで3500万円も貯蓄があるので、入院時に保険に頼る必要はないはず。お子さんのために死亡保障はあってもいいですが……」(同)

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中島晶子

中島晶子

ニュース週刊誌「AERA」編集者。アエラ増刊「AERA Money」も担当。投資信託、株、外貨、住宅ローン、保険、税金などマネー関連記事を20年以上編集。NISA、iDeCoは制度開始当初から取材。月刊マネー誌編集部を経て現職

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