死亡保障だけ残すと、なんの無理もなく毎月6万3500円が浮いた。ただ、がんや急性心筋梗塞、脳卒中といった「3大疾病」は入院が長引くこともあり、治療費が健康保険適用外になることも考えられる。どうしても医療保障がないと不安なら、3大疾病に絞った掛け捨て保険に加入するといい。妻が加入している共済の医療保険もスッパリ解約するか、コンパクトな3大疾病保険に乗り換える。

「共済は掛け金が安く割戻金があるのがメリット。でも65歳を過ぎると保障が薄くなるので、病気しやすい肝心な時期に役立ちません。高齢になっても保障が変わらない民間保険が安心です」(同)

 夫婦で加入している個人年金保険や長男名義の外貨建て終身保険(年払い730ドル=約8万300円)にも疑問を呈する。

「保険料控除を利用した節税を狙っているかもしれませんが、節税額は微々たるもの。資産運用の一環で加入しているにしても、夫21万円、妻25万円の年払いでは効率が悪い」(同)

 長男名義の外貨建て終身保険は、個人の資産形成には適さない金融商品として金融庁が“ダメ出し”している商品のひとつだ。2018年12月からは生保説明資料の謳い文句について、“積立利率などの表現が加入者の誤解を招く”と、監督を強化し始めた。保険会社や販売会社にとって利幅が大きいので積極的に販売されてきたが、加入者は無駄なコストを負担させられている。金融庁のレポートでも「より低コストで同じ経済効果を得られる選択肢があるにもかかわらず(中略)、高い手数料を徴収」と厳しい記述がある。

 外貨建て保険は円建てよりも利率が高いのが魅力だが、為替はそれ以上に変動する。高いコストを払ってリスクを取るなら素直に投資信託を買ったほうがいいと横山さんはいう。

「途中解約すると、元本割れしがちなので判断が難しいですが、外貨建て保険から低コストの投資信託に乗り換えた場合の利益が解約の損失を上回る可能性も十分ある。保険はあくまで備え。掛け捨ての商品に加入するのがポイントです」

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