![神山さんが指導した子ども向けの文章講座の一場面。リングの小さなメモ帳(手前)に記したことを、真剣な表情で付箋に書き写す=北海道大樹町(写真:佐々木企画)](https://aeradot.ismcdn.jp/mwimgs/7/5/620mw/img_75d526e7b99ee7b4c4203e31ace7feeb48343.jpg)
![読書感想文 こんなふうに書いてみよう!(AERA 2018年11月19日号より)](https://aeradot.ismcdn.jp/mwimgs/7/9/575mw/img_79a22a43bf34808f36aca655d41d0ef676353.jpg)
![読書感想文 すらすら書くために…(AERA 2018年11月19日号より)](https://aeradot.ismcdn.jp/mwimgs/3/6/555mw/img_363ad874d3749645d513b047c439492590248.jpg)
本誌10月15日号の「読書感想文はもういらない!」で感想文に苦しむ親子の姿を伝えたところ、SNSなどで多くの反響が寄せられた。だが、ノンフィクション作家の神山典士さんは、「すらすら書くコツ」があるという。
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「目、鼻、耳、口、手。これら五感を使って、いまから体験することを感じてメモしよう。自分の考えたことや誰かの言葉などもメモしておいてね」
各地で開く文章講座に集まる子どもたちに対して、私は最初にそう呼びかける。「五感を使って書く」。それが文章をいきいきとさせる秘訣だ。
作文は、こうして書きためたメモを付箋(ふせん)に書き写し、三つに分類して構成する。
「1枚目の画用紙」には最も印象的だったこと。一番書きたいこと。「2枚目の画用紙」には「いつ、誰が、どこで、なぜ、何を、どのように」。いわゆる「5W1H」を。残ったエピソードや言葉は「3枚目の画用紙」に貼る。
書き始めは、「1枚目」に貼った最も書きたいことから。その後、「2枚目」の要素を入れて補うとわかりやすくなる。さらに「3枚目」のエピソードを入れると、広がりが生まれる。
こう指導すれば、「朝起きてご飯を食べて遠足に行きました」というような時系列説明的な文章は出てこない。川端康成の『雪国』は、「トンネルを抜ける」ところから書き出したからこそ読者はその世界に引き込まれる。上野駅を出発する列車のシーンから描かれたら、飽き飽きしていたはずだ。
子どもたちと読書感想文を書くときは、この手法をアレンジする(チャート参照)。作文より手間がかかって難しいけれど、その書き方を指導する格好の手本がある。
「『もっと優しく弾けないかな』。また母に言われてしまった。言葉にできないいらだちや思いを、気付かないうちにピアノにぶつけていた時、辻井さんが私に語りかけた。『ピアノは心の鏡だよ。心の眼を開いて、身体全体で風を感じてごらん』」
これは拙著『ピアノはともだち 奇跡のピアニスト辻井伸行の秘密』の読書感想文。2012年青少年読書感想文全国コンクールの「内閣総理大臣賞」受賞作の書き出しだ。
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