日本の高校卒業でも「6割が非正規」 外国人子女の就職問題

大学入試

2018/09/23 16:00

※写真はイメージ
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 新宿・大久保の公共施設の一室。夏休み明けの教室はいつもより少しにぎやかだ。

「今日何覚えた?」

「集中すればよくできる。その調子でがんばろう」

 子どもたちに声をかけるのはNPO法人みんなのおうち(東京・新宿)の代表理事の小林普子(ひろこ)さん(70)だ。この「子ども日本語教室」は、新宿区の事業で、実際の運営は同法人が行い、外国にルーツを持つ子どもたちへ無料の学習支援をしている。新宿区は住民の約12.3%が外国籍。中国、フィリピン、タイと、いろいろな国にルーツを持つ子どもたちの共通言語は日本語だ。しかし話すのは上手でも、教科書が読めなかったり、授業で先生が使っている言葉が理解できていなかったりする場合も多い。

「この教室ではそういう不可視のニーズに対応していきます」

 国籍、言語、生まれた場所、来日時期、ビザ。一人ひとりの子どもによって、状況がすべて違う。小林さんは注意深く子どもたちの状況を把握して、ボランティア講師に伝える。

 小林さんが講師として初めて関わったフィリピン人の男性(24)は、「このクラスに来て仲間が増えて、『自分一人だけじゃないんだ』と思えた」と語る。

「勉強して終わりではなく、就職やビザで困っても助けてくれる。僕より僕のことを知っていてくれます」

 学習という場所だからこそ発見できる問題があり、明らかになる課題がある。小林さんの関わりは、居場所作り、就職支援、ビザ申請支援……と芋づる式に広がっていった。

「学校の三者面談についていくこともあります。生徒の親は日本語がわからないので、担任の先生にも歓迎されますよ」

 そんな小林さんを支えるのは「教育が原点」という信念だ。

「貧困から脱出する一番の方法が教育。せめて高校だけは卒業させてあげたい」

 家庭の経済的事情があるので公立校がいい。大学に行きたいが経済力がない場合、東京都立産業技術高等専門学校を勧める。就職率もいいし、大学に編入学もできる。フィリピン系の子どもは英語の配点の高い都立に。今年は在籍12人の中3生は、全員進学先が決まった。8人が公立高校(うち2人が都立高専)、3人が私立高校、1人が学費がかからず、勉強しながら専門技術も学べ、卒業した時点で正社員になる企業内高校だ。

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