メルカリでの一連の流れには、売れる写真の撮り方、コピーの書き方、競合との差別化など、ビジネスの基礎が詰まっている、という。とはいえ尾崎さんは「求めすぎないこと」に気をつけている。小難しいことを話すのではなく基本的には任せて、売れたらよかったねと一緒に喜ぶだけ。

「もっとこういう計算ができるように、とか、売り上げを寄付に回しなさいとか、求め始めたら際限がない。その額じゃ売れないだろうな、もっとこう写真を撮ったらいいのに、と思うこともありますがそこはぐっと我慢します」

「お母さんが言ったことをそのままやる」では意味がない。あえて失敗させ、相談されてからアドバイスをする。マネー教育としての「親子メルカリ」のコツのようだ。

 なおメルカリは利用に年齢制限は設けておらず、親権者の同意があれば、未成年者でもアカウントを作れる。

 ところで叶大くん、夏休みに遊びにいった海で、シーグラス(波にもまれて角が取れたガラス片)を拾ったときも「これって売れるのかな?」とメルカリを検索。アクセサリーにすると高く売れるとわかり、拾ったシーグラスと100円ショップで買ったパーツで指輪とイヤリングを作った。一連の出品体験をまとめた自由研究の最後のページには、販売金額1千円の内訳が、

100円 メルカリ
200円 ゆうびんやさん
700円 ぼく

 と書かれている。

 自分と買ってくれた人の間に、システムを作る人、商品を届けてくれる人がいる。お金の仕組みを知ることは、社会のつながりを知ることでもある。(編集部・高橋有紀)

AERA 2018年9月10日号より抜粋