仲宗根叶大くん、尾崎えり子さん/千葉県流山市在住。尾崎さんは株式会社新閃力代表取締役、NPOコヂカラ・ニッポン副代表なども務める(撮影/品田裕美)
仲宗根叶大くん、尾崎えり子さん/千葉県流山市在住。尾崎さんは株式会社新閃力代表取締役、NPOコヂカラ・ニッポン副代表なども務める(撮影/品田裕美)
写真は叶大くんが夏休みに海で拾ったシーグラスで作ったアクセサリー。出品、販売の流れを自由研究にまとめた(撮影/品田裕美)
写真は叶大くんが夏休みに海で拾ったシーグラスで作ったアクセサリー。出品、販売の流れを自由研究にまとめた(撮影/品田裕美)

 宝物を売ったお金で、欲しいおもちゃを手に入れる。メルカリはお金の価値や交渉の大切さを教えるのに最適だ。

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 小学1年生の仲宗根叶大(なかそねかなた)くんは、お母さんと一緒にメルカリを使っている。初めての売買は今年1月。「仮面ライダービルド」のおもちゃを売って、どうしても欲しかった「仮面ライダーブットバソウル」のメダルを手に入れた。

 母親の尾崎えり子さんによると、きっかけは4歳のとき経験した本物のフリーマーケットだった。

「自治会の小さなお祭りでフリマを出店しました。兄妹で店先に立った体験がすごく楽しかったようで。また売りたいと言われるけど、フリマの機会ってそうそうない。じゃあメルカリをやってみる? と」

 尾崎さんは叶大くんに決まった額のお小遣いを渡していない。叶大くんは欲しいものがあれば、お手伝いをしてその対価としてお金を得るか、いらなくなったおもちゃなどを売ってお金を得る必要がある。「買うより売るほうが楽しい」と、すっかりメルカリにハマっている。  

 例えばポケモンのカード。

「めずらしいやつは1千円とかで売れるし、ふつうのやつは500円とか300円」と、希少で需要が高いほど価格が上がる市場の仕組みを、自然と理解している様子だ。

 メルカリで経済の仕組みを学べる、といっても、小学生の子どもを持つ親に聞いてみると、

「親の知らない不特定多数と接触し、しかもそこにお金が絡むので不安がある」といった声が聞かれる。子どもに金儲けを教えることに抵抗がある人も多いだろう。

 尾崎さんはなぜ叶大くんにメルカリを?

「私の子育てのモットーは、明日私が死んでも生きていける自立した人間に育てること。自分で早く稼いでほしいと思っているんです」

 尾崎さん自身、起業家でもある。

「お金を稼ぐって、すごく大変なことです。圧倒的な知識や情報が自分の中になければできない。算数をやってないといくらで売ればいいのかわからないし、国語をやっていないとどう表現したらいいかわからない。学校での勉強が社会とつながっていることを、22歳になって社会に出てから知るんじゃなく、早いうちからリアルに体感することが大事だと思っています」

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