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「売れるものしか買わない」メルカリが生んだ新たな価値観

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高橋有紀AERA
人から人へ。フリマアプリの登場で、商品はバトンのようにひとりの消費者から次の消費者へと渡っていく(撮影/今村拓馬)

人から人へ。フリマアプリの登場で、商品はバトンのようにひとりの消費者から次の消費者へと渡っていく(撮影/今村拓馬)

 一方でフリマアプリの拡大に伴い「新品市場の成長が鈍るのでは」という懸念の声も出ている。メルカリの小泉文明社長は7月にあったイベントでこう反論した。

「二次流通が盛んになることで一次流通のモノの価格が再定義できるのでは。モノの値段が全体的に上がり、無駄なものは生産されずに、サステナブルな社会になる」

 若者世代や女性の消費者行動に詳しいニッセイ基礎研究所の久我尚子主任研究員は「2000年代以降の価値観の変化に、メルカリがうまくマッチした」とみる。

「物を有効活用したい、自分が必要としなくなったものが誰かの役に立てばうれしい、というように、エコ意識や誰かに貢献したい気持ちが消費者の中で高まっています。厳選したものだけを持って、数回しか使わないものは所有でなく利用だけできればいいという価値観に変わってきている」

 震災後の社会貢献意識の高まりもその背景にあると見られる。

 実際、大和総研による「ネットリユースに関するアンケート調査」によると、「フリマアプリで販売する目的」は「捨てるのがもったいないから」の回答が「お小遣い稼ぎのため」を上回っている。

 私から、あなたへ──。商品はバトンのようにひとりの消費者から次の消費者へと渡っていく。自分がかつて大事にし、今では使わなくなったものが、他の誰かのもとでまた息を吹き返す。そのやりとりには承認欲求が満たされるような、不思議な満足感もある。

 ひとりの消費者の所有と消費を前提としてきた企業は今後、第2、第3の「商品人生」を見すえたマーケティング戦略が必要になると山本准教授は見る。

「企業からモノを買うだけだった消費者が、簡単に誰でも売り手サイドに回れるようになった。個人の生活者がより力を持ったという意味で、メルカリが経済活動を民主化させたと言えるのではないでしょうか」

(編集部・高橋有紀)

AERA 2018年9月10日号より抜粋


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